今はもう社会人になっている娘が高校生のとき、クイズ研究同好会を作りました。
クイズと言えば「早押し機」が必要不可欠ですが、「もし同好会を作るんなら、早押し機は作ってあげるよ」と娘に言ったのが、思えばもう8年半も前のこと。
当時はよさそうなものが市販されていなかったからですが(現在でも本格的なものは高価です)、45年ほど前のラジオ少年の血が騒いだというのもあります。
そして8年以上の時が流れ。
娘が作った同好会は、今も後輩たちの手によって存続しています。
私が作った早押し機も、何回もの修理と改造を経て使い続けられています。
最近では、2022年6月にちょっと大きな改造をしました。
それまで、押しボタン子機を本体に接続するプラグまわりの断線が頻発していましたが、プラグとジャックを全とっかえしたことで、そういった故障はもう起こりにくくなったと安心していました。
ところが、また修理依頼が来たんです。
今回の故障は、重症。
話を聞いてみると、重症そうでした。
現物を引き取り、電源を入れてみると。
- 電源を入れると、全部のLEDがうっすら点灯したり。
- しばらく経って、何もしていないのにいくつかのLEDがはっきり点灯したり。
- リセットボタンを押すたびにピンポン音が鳴ったり。
- 基板上のスイッチを操作したとき、反応しない番号や、異常なピンポン音が鳴る番号があったり。
動作がめちゃくちゃです。
押しボタン子機を接続していない、基板上のスイッチを操作してこの状態なので、作ってから8年も経った基板(あるいは基板上のICであるPICマイコン)がおかしくなったに違いありません。
そこで、基板をまるごと交換することにしました。
基板(HA-808)を交換。
HA-808は、普通の通販サイトだと、キットとしてしか売られていません。キットはプリント基板とパーツのセットなので、自分でハンダづけして組み立てる必要があります。
しかし、製造元の共立エレショップのサイトでは、「組み立てサポート付き」、つまり完成品も、値段が少し高くなりますが販売されています。
私の場合、改造して使いますが(基板上のLEDを全部取り外してしまう)、部品点数が多く、ICやICソケットもあり、プリント基板上の細かいパターンのはんだ付けにも多少不安があったので、今回もお金にモノを言わせて(!)組み立てサポート付きの方を購入しました。
キットだと短期間で手に入りますが、「組み立てサポート付き」だと納期は10日ほどとのこと。組み立てに時間がかかるのでしょう。入手までに結構期間がかかりました。
ようやく、2週間弱で到着。
「基板完成品」というシールが貼られています。
この新しい基板から、まずLEDを11個、全部はずしました。
こういうときは、ハンダ吸い取り線が便利ですね。
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親機の内部はこうなっています。
画像下側の基板だけを交換していきます。
基板にはんだ付けされているのは、
- ケースに取り付けられているLEDブラケットへのリード線が11本。
- RESETスイッチへのリード線が2本。
- RANKスイッチへのリード線が2本。
ネジ止めされているのが
- 押しボタンへの配線が8本。
- 電源が2本。
- アンプ基板へのリード線が2本。
これらを、順次新しい基板につけかえていきます。
「そういえば、人工知能を備えた医療ロボットをブラックジャックが修理する回があったなあ」などと関係ないことを考えながら、こみいった配線をかきわけかきわけ、場所を間違えないよう1つずつリード線を付け替えていきました。
修理完了。
基板交換後、おそるおそる電源を入れてみたら、無事正常動作しました。
ほっと一息。
もしこれで直らなければ、どう修理したものか、策がありませんでしたから。
ついでに、ガタツキがあったスピーカー取り付け金具にパッキンを噛ませて、修理完了としました。
すぐ返却してしまうので、記念撮影をしておきました。
前回の改造後、押しボタン子機を接続するジャックにテプラで番号を貼ってくれたようです。
実は、基板交換の前にやろうとしたこと。
今回の修理、スムーズに行ったように見えますが、実はそうではありませんでした。
これまでのような単純な押しボタン子機側の断線といったものでなく、本体の根本的故障だと判断したとき、「HA-808上のICが基板に直付けでなくソケットに刺さっているのだから、これを交換すれば直るんじゃないの?」と考えてしまったんです。
メインの基板HA-808上に載っているICは、PICマイコンPIC16F886-I/SP。
これを差し替えれば?というわけです。ここが素人の浅はかさ。
ますこのPICマイコンを通販で入手。予備も含め2個。
差し替えようとしたときになって、ソケットから前のICを抜くためには専用工具が必要だということに気づき、改めて専用のIC引き抜き工具を入手。
ところが、こうやって材料がそろった段階になって、「PICマイコンは、プログラムを書き込んで使うものだ」という真実に気づいてしまいました…。
基板に直付けされておらずソケットに刺さっていたのは、そのためだったんです。
なるほど、そういうことだったのか。知らなかった…。
45年前のラジオ少年は、真空管とかトランジスタ、ICといえばロジックICとか、LM386やタイマIC555を使ったキットみたいなものしか扱ったことがありませんでしたからね……。
もちろん、書き込まれているプログラムがどんなものか私にはわかりませんし、そもそも書き込みに必要なPICライタだってありません。これではどうしようもない。
試しにこの新品PICマイコンに差し替えてみましたが、電源を投入しても、親機はうんともすんとも言いません。当然です。プログラムが書き込まれていない新品PICマイコンチップは、中身が空っぽなんですから。
それなら基板をまるごと交換するしかないと、新たな方針で修理することにしたのでした。
結局、修理期間も、余計な出費もかかってしまいました。