2019年の統一地方選挙後半戦。選挙運動が盛んです。
(それにしても,どうして公示後1週間しか期間がないんでしょうね…。選挙運動が公式に始まってから,あっという間に投票日になってしまいます)
そして,選挙と言えば選挙カーです。
選挙カーはなぜ候補者の名前しか連呼しないのか。
「○○××,○○××をよろしくお願いします!」と連呼してばかりの選挙カー。
どうして名前しか言わないの?
どうせなら,政策とか,公約とか,政治信条とか,そういうものも言えばいいのに……と思った方も多いはず。
しかし,それを言っちゃいけないんです。
それを言ってしまうと,公職選挙法違反になってしまうんです。
その理由は,「選挙カーで選挙運動をしてはいけない」から。(原則)
なんと,公職選挙法では,自動車上で選挙運動をすることが禁止されているんです。
公職選挙法第百四十一条の三 何人も、第百四十一条の規定により選挙運動のために使用される自動車の上においては、選挙運動をすることができない。ただし、停止した自動車の上において選挙運動のための演説をすること及び第百四十条の二第一項ただし書の規定により自動車の上において選挙運動のための連呼行為をすることは、この限りでない。
(参考:e-Gov法令検索)
(ところで初めて知りましたが,公職選挙法って第275条まであるんですね…。膨大。)
選挙カーで走っているとき選挙運動をしちゃダメということは,つまり政治的主張をしちゃダメということなのでしょう。
そして,例外として許されているのが,「止まっているとき」と,「連呼行為」。
「止まっているときの選挙運動」は,例えば街頭に駐車した選挙カーの上に立って行われている演説などですね。
そして,「連呼行為」も例外として許されています。それが,具体的には「候補者の名前の連呼」と解釈されているのでしょう。
参考:
選挙ポスターにもこまかい規制が。
選挙ポスターも,立候補者が1人だけ写っているものは公示日以降しか掲示できません。なので,選挙運動期間よりも前に掲示されているポスターには,他の有名政治家と2人で写っていたりするのです(「2連ポスター」)。
(参考:選挙ポスター - Wikipedia)
複雑な法律が,新人の参入障壁になっている。
昭和25年に制定され,その後毎年のように改正されてきた公職選挙法。
選挙の実務に精通した事務方がいなければ,あっという間にどこかの項目に違反をしてしまいそうです。そうさせない緻密なバックアップ体制が,「選挙地盤」や「政党支援」の1つなのでしょう。
そして,そういう七面倒くさい制度の中で闘い,勝ってきた現職議員が法律改正に取り組む動機は,自ずから低くなるはず。ややこしいままにしておいた方が,新人や新党が政治に参加しにくくなりますから。
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