前回記事の続きです。
大学を卒業して企業に就職すると、地方に配属されることは多いのではないでしょうか。
(「配属先が決まるまで、どこでどんな仕事をするかわからない」という日本企業のシステム自体どうなの? とは思いますが)
特に理系の場合、工場や研究所は、地方都市だけでなくかなりの田舎にあることもよくあります。そうなると、かなり「隔離された環境」での生活になります。
するとどうなるか。
- 住むのは会社の独身寮や社宅。
- 平日に飲みに出るのも会社の同僚や先輩と。
- 週末に遊びに行くのも会社の同僚や先輩と。
- つきあう相手も社内の人。
- 結婚相手も社内の人。
- 仲人を頼むのも、会社の上司や事業所長。
- 結婚式の主賓も、会社の上司や事業所長。
- 結婚後の新居は社宅。近所の人もみんな同じ会社の人。
- 昔は住宅資金も社内で融資を受けたりした(低金利時代の今では、もうそういう制度は残っていないでしょうが)
- 従業員持ち株会で自社の株を買うようプレッシャーをかけられる。「将来管理職になるならそのときにはン千株は持っていないと」などと言われる。
……
周囲に知人がいない全くの新天地での生活では、全てが会社関係で固められがち。
上記は全て、30年前に私の周囲で実際にあったことです。
こんなことだと、人生の全てが会社がらみになってしまいます。
周囲のほとんどが社内結婚(あるいは、大学時代からのつきあいで入社後すぐに結婚)していく中で、私自身は絶対に社内結婚はしたくないと考え、相手は自力で探しました。
自社の株を自分の資産として持つと、勤務先が経営不振に陥ってしまったときに自分の仕事(雇用)が危うくなるだけでなく、株価下落で自分の資産も目減りしてしまい、ダブルで影響を被ってしまいます。株を買うなら同業他社のものにする、あるいは異業種の株を買うなどしてリスクをヘッジするという考え方もあります。
会社以外の世界を持つこと。
なので、全く知らない土地に配属になった新入社員の人には、会社以外の生活を持つことを強く勧めます。
会社以外の人間関係。例えば地域のスポーツや趣味の集まり、サークルやボランティアに参加してみるとか、行きつけのカフェや飲み屋を作ってみるとか、そんな小さなことでもいいでしょう。
私の時代にはインターネットというものがありませんでしたが、現代なら、ネットつながりで会社とは別の人間関係を維持したり、新たに作ったりすることもできるでしょう。
もちろん仕事をしっかりやって覚えることは大切ですが、過剰適応は考え物。仕事以外の生活や、人生そのものまで会社に預けてしまうべきではありません。
自分の生活、自分の人生は、自分のもの。
ときどき、そんな風に思い返してみてください。