NHK Eテレで「欲望の経済史」という新しい番組が始まりました。
2018年1月5日放送の第1回は、「利子の誕生」について。
- 古代メソポタミアの時代から利子を取ることは行われていたが、世界の主な宗教は高い利息を取ることを禁止していた。
- ただし、ユダヤ教は例外で、同胞からの利子徴収は禁止する一方で異教徒からの利子徴収は認めた。(そのためユダヤ人の金貸しが増え、『ヴェニスの商人』のシャイロックのように嫌われ、差別されることになったのかな?)
- 中世でも、利子徴収はカトリックにより禁止されていたが、コジモ・デ・メディチは為替差益で儲ける方法を思いつき、莫大な利益を上げた。ただし敬虔な信者だったため教会に多額の寄進を行い、芸術家のパトロンとなることによって利益を社会に還元することにつながった。
- 宗教改革で、カルヴァンが利子を取ることの正当性を認めた。
そんな内容でした。なかなか面白かったです。
うーん、マックス・ヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』か……。そういうことか。
再放送は2018年1月7日(日)午前0時(1月6日深夜24:00)から。
「勤勉の美徳」……。
今後の放送では、「勤勉の美徳」についても取り上げられるらしいです。第3回だったかな。
「勤勉さ」、「額に汗して働くこと」が美徳とされているのは、改めて考えてみるとどうしてなんでしょうね。
ネットでは、その裏返しとして「地道に働くのでない方法で稼ぐのってどうなの?」と、否定的文脈で言われることが多いように思います。今は、体を動かさなくても頭で汗をかけば稼ぐことが可能な時代ですが。
勤勉でない方法と言えば、大昔は詐欺、暴力、権力、ギャンブルなどしかなかったでしょう。そんな「正しくない、楽な、あるいはズルい」方法で金を手にすることに対する庶民の反感が、昔から現代に至るまで続いているのかなと思いますが。
その一方で、昔から、商人の経営層や農林漁業・手工業の元締めなどは「いかに労力をかけずに儲けるか」に腐心していたはず。庶民とは階層が違う「別の人種」だったので、反感を持つ対象にならなかったのでしょうか。
結論は出ませんが、そんなことを風呂に入りながら考えていました。
(備忘録)
「働かざる者食うべからず」は、もとは新約聖書『テサロニケの信徒への手紙二』より。
レーニンは、不労所得で荒稼ぎする資産家を戒める意味でこの言葉を使ったとか。