確定申告の期限は毎年3月15日です。
そろそろあわてている人もいるかもしれません。
投資をしている人は、投資の損益について確定申告をする方もあるでしょう。
そんな中で、「これはもしかしたら盲点じゃないか?」と気付いたことがあります。
配当所得の確定申告。
株式や投資信託の配当は、確定申告する必要がありません。税金が源泉徴収されているからです。
参考:
ですが、確定申告することで、配当から差し引かれた税金が払いすぎになり、取り戻せる(税金が安くなる)場合があります。
- 総合課税を選択すると配当控除を適用できるので、課税所得が695万円未満の場合は税金が納め過ぎになり、税金が安くなる。
- 他の投資で売却損が出ている場合は、申告分離課税を選択して損益通算すれば配当所得が減ることになり、税金が安くなる。
などです。
「それなら、面倒だけど配当所得も確定申告して、ちょっとでも税金を減らそう」……
毎月分配型投資信託などで受け取る配当の額が大きい方は、そう考える方もあるかもしれません。
配当所得を確定申告すると、総所得が増える可能性が。
ところが、配当所得も所得の1つ。確定申告に含めると、総所得(各種控除を適用する前の所得の総額)が増えることがあります。
他の投資(株式・投信など)の売却損が配当所得を超えている場合は、申告分離課税を選択して損益通算すれば、配当所得がゼロになり、総所得は増えません。配当所得から差し引かれていた源泉徴収分がまるまる安くなるはずです。
ところが、そうでない場合は? つまり、他の投資の売却損の方が小さい、あるいは売却益が出ている場合はどうでしょうか。
- 株式等の売却損が10万円、配当所得が15万円の場合、申告分離課税で損益通算すれば、総所得が5万円増える。
- 他の投資でも売却益が出ているなら、申告分離課税で損益通算しても所得は減らないので、配当所得の15万円分、そのまま総所得が増える。
- 総合課税とするなら、総所得は15万円増える。
いずれの場合も、条件によって、所得税や住民税が安くなることはあるでしょう。
しかし、国民健康保険加入者の場合は、総所得が増えることが問題なんです。
国民健康保険料(税)は総所得に対してかかる。
盲点なのが、総所得に対して一定割合でかかる国民健康保険料(国民健康保険税)。
配当所得を確定申告に含めた結果、総所得が増えてしまうと、国民健康保険料が増えてしまうのです(保険料の上限を超えた場合は増えません)。
国民健康保険料は、医療保険分、後期高齢者支援金分、介護保険分(40歳以上対象)を合わせると、総所得×約10%です(自治体によって差があります)。
ですから、上記の例では、おおざっぱに言えば
してしまうと言えそうです。
どっちがトク?
……以上が私の理解です(もしかしたら間違いもあるかもしれません)。
確定申告しなくていい配当所得をあえて確定申告することによって還付される額と、
国民健康保険加入者の方は、「ほんのちょっとの還付のために国保税がアップしてかえって損」することがないよう注意してください。
気になる方は、配当所得を申告した場合と申告しなかった場合について、シミュレーションをしてみるといいと思います。
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