小さい女の子の「なほちゃん」が、大きい子たちと一緒にはじめてのキャンプに行くお話です。
小さい子はあれもできない、これもできないからだめといって嫌がる大きな子たち。
でもなんでもやってみる、なほちゃん。
口ではいろいろ言いながらも、ちゃんと小さい子の面倒をみる大きな子たち。
子供たちにそんな体験をさせてあげる、ともこおばさん。
もちろん、自然の中での料理の楽しさ、食事のおいしさ、暗闇の怖さ、星空の綺麗さ。
楽しいキャンプの様子と、なほちゃんの頑張りや成長が、林明子さんのかわいらしい線で描かれています。
最後になほちゃんは胸を張って、こう言います。
「わたし、おおきいこのようにちゃんとキャンプできたよ!」
きっと、これを読んだ子は誰だってキャンプをしてみたくなるに違いありません。
そんな本です。
でも、現代では簡単にはお勧めできない点が。
この本、初版は1984年。
キャンプというものが今ほど一般化していない、限られた人だけのものだった時代です。ですから、現在からみるといろいろとひっかかってしまうところがあります。
記述の中で出てくる、
- 焚き火、キャンプファイヤー。
- 川の水で米を研ぐ、皿を洗う。
- 草むらでおしっこ。
こういったことは、現在のキャンプでは全てマナー違反、禁止事項です。
キャンプ場でさえ、火は指定された場所でしか使えませんし、地面の上で直接燃やすべきではありません。
川の水を炊事に使うと、水を汚します(洗剤を使わなくても)。
おしっこだってトイレでするのが原則。
そもそも、キャンプ場以外での野宿は原則禁止と考えた方がいいでしょう。
すべてがおおらかで、環境問題などもあまり考える必要がなかった、古き良き時代のキャンプの様子と言えるかもしれません。
残念ですが、この本を読むときにはそういう注意が必要になってしまいました。
※この表紙の絵、ウチの娘の小さい頃にそっくりなんですよね……。