入学式・卒業式でのPTA会長あいさつ・祝辞について。前回の続きです。
小学校の卒業式を想定して,内容について考えてみます。
卒業式あいさつで言うべきこと。
それは,感謝のことばです。
PTA会長あいさつの聞き手としては,
- 児童生徒
- 教職員
- 卒業生保護者
- 来賓(地域の方々)
が考えられるということを前回書きました。
その中で,児童生徒以外のそれぞれに対する感謝のことばを含めるべきです。
来賓(地域の方々)に対して:
中学校でもそうですが,小学校では特に,体験学習・ボランティア・交流活動などで,地域の方々の協力が必要不可欠になっています(文部科学省の方針)。また,登下校時の安全確保にも協力していただいているはず。そのようなことに対するお礼のことばを入れましょう。
教職員に対して:
これは言うまでもありません。卒業生が無事に卒業できるのは先生方の指導のおかげです。
卒業生保護者に対して:
家庭のさまざまな事情や考え方がある中PTA活動に協力していただいたことに対して,お礼の言葉を含めるべきです。感謝の気持ちがなければPTA活動は回らないというのが私の考えです。「やって当然」「やらないのはおかしい」というような考え方だと絶対トラブルになります。
「PTA活動にご協力いただきありがとうございました」……これは私の心からの気持ちです。
卒業する児童生徒への言葉がメイン。
メインの部分です。
ここでは,「自分の子どもが卒業するとしたら何を言ってやりたいか」を基本に,月並みな紋切り型の内容ではなく,子供たちに心から伝えたいことを,自分の言葉で考えましょう。
言わない方がいいこと。
一方,避けた方がいい内容があります。
卒業式では,市長メッセージ,市議会議長あいさつ,教育委員会あいさつなど,PTA会長以外にも来賓祝辞があります。ところがどういうわけか,私の経験では市長・議長・教育長の挨拶は、内容がかぶるんです。同じ人が原稿を作ったんだろうか……と思うほどでした(本当にそうなのかもしれません)。いかにもお役所的な、紋切り型の表現で同じ内容が繰り返されることを何回も経験しました。
何がかぶるかというと,
- オリンピック
- ノーベル賞
- 宇宙飛行士
- 自然災害
などです。
「○○選手はあきらめずに努力して金メダルを取りました」,「○○博士は努力を重ねて研究しノーベル賞を取りました」,「○○さんは子どもの頃からの夢をかなえて宇宙飛行士に」,……という感じです。
その話題の出だしを聞いただけで,聞いている側は「またその話か」「またその話か」「またその話か」……と,話を聞く気がそがれてしまいます。
そうでなくても,式の挨拶はつまらないものばかり。同じような内容なら,なおさらです。
ですから,個人的によほど思い入れがあったり,地域でよほど関わりがあることでない限り,そういった「卒業式にもってこいの旬の話題」(すなわち「ありきたりな話題」)を、ありきたりの表現で言うのはやめましょう。
あえてその内容を盛り込むのなら,紋切り型の表現にならないように注意し,聞き手の興味を引くような,しかし変にひねらない内容に,うまく工夫する必要があります。
例えば、「他の方のご祝辞にもあったかもしれませんが、今年はオリンピックで○○選手が~」と、最初にひとこと付け加えるだけでも随分マシになるように思います。
私が実際に使った文例はこちらからどうぞ。