NHK Eテレ「オイコノミア」で検索して見に来ていただける方がいるようなので、今週も。
今週は「落語の経済学」でした。レギュラーの又吉直樹さんと慶應義塾大学教授 中島隆信さん、ゲストは柳家花緑さん。
落語ブーム。
落語がブームになっているそうです。
落語会の開催件数は、2006年の8000件強から2015年には14350件に増えているとか。
(ただし、全般的底上げというよりは、「局地的」に盛り上がっている部分がある様子らしい)
経済学からみても面白い話が。
「千両みかん」という話。
重病になった大店の若旦那。番頭が「なにかしたいことは」と尋ねたところ「みかんが食べたい」と。ところが季節は真夏の8月、みかんなどなかなか手に入らない。みかん専門問屋で倉に大切に蓄えられていたみかんがあったが、値段は1個千両。大旦那の了解を得て買って戻り食べさせたところ、若旦那は大喜び。10房のうち7房を食べ、3房を両親と番頭の3人で食べるようにと。ところがその3房を受け取った番頭、「これが三百両の価値……」と思うと、その3房を持って逃げてしまった。
→使用価値と交換価値が混同されていることによる笑い。
- 使用価値:ある物が使う人にとってどれぐらい価値があるか。
- 交換価値:市場で他の商品と交換できる客観的な価値。
(この場合、みかんは1000両の使用価値があったが1000両の交換価値はない)
「花見酒」という話。
花見で賑わう隅田川の川べり。一儲けしようと、兄貴と弟分が酒を仕入れて売りにいくことに。
ところが道中、一杯のみたいと兄貴分が弟分に10文払って一杯。
それを見た弟分が自分もと、兄貴からもらった10文を兄貴に払って一杯。……
それを繰り返していくうちに、川べりについたころには、一銭ももうかっていないのに酒樽は空になってしまった。
→酒の所有権が、飲むごとに入れ替わっている。
「共有地の悲劇」
何人かで共有する資源をそれぞれが自由に使えると、乱用してみんなにとって悪い結果になること。
例:共有の牧草地で、みんなが自分の牛にできるだけたくさん食べさせようとすると牧草地が荒れてしまう。
1人が所有していれば大切に扱うが、「みんなのもの」になるとそうでなくなることがある。
漁業資源の乱獲、税金の使途などもこれに近い。
落語家と関連のある制度。
徒弟制度:養成に効果的な分野がある。
人的資本
人間が身につけている知識や技能を資本とみなすこと。
- 一般的人的資本:読み書き計算、外国語など、応用範囲の広い能力。
- 特殊的人的資本:一部の専門的職種でのみ力を発揮できる能力。教科書などに記述するのが難しく、徒弟制度が効果的とされる。
年功制:落語家の場合は大体15年で真打ちに。(団体理事や席亭の協議による抜擢制度もある)
年功制だと逆ピラミッドになりがち。
現在:
- 真打ち:349人
- 二つ目:130人
- 前座:77人
(ただし売れているかどうかは別だとか)
大学教員も似たような人員構成。
- 教授:5割
- 准教授:3割
- 講師:2割
伝統文化が生き残るための三要素。
伝統文化性、競争性、商業性の3つ。
- 茶道、華道:伝統文化性
- 柔道:競争性
- 歌舞伎:伝統文化性、商業性
- 将棋:伝統文化性、競争性
- 大相撲:伝統文化性、競争性、商業性
のようにそれぞれの性質を生かして現代まで続いてきた。では落語の今後は……?
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再放送は12月16日(金)(12月15日(木)深夜)午前0:30からです。
来週は「オイコノミア流 2016年ニュースはこう読め!」だそうです。ゲストは犬山紙子、土田晃之、春香クリスティーン。
※梅原大吾さん出演の回が2017年1月4日(水)午後10:00~と1月6日(1月5日深夜)午前0:30~、
ハンバート ハンバート出演の回が2017年1月25日(水)午後10:00~と1月27日(1月26日深夜)午前0:30~
に再放送されるようです。
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