確定拠出年金の対象範囲が,専業主婦・主夫や公務員まで広がりました。
株式市場も,トランプ相場で昨年末は大幅上昇。
副業に関する話題が賑やかになり,年金制度に対する不安感は相変わらず……。
そんな中で,「投資」という言葉に「やった方がいいのかな?」「やってみようかな?」とそわそわしている方が多いのかもしれません。
値下がりすることは,必ずあります。
そんな人に,念のため言っておきたいのが,
「投資を始めると,値下がりして資産が減ることが必ずある」ということ。
投資を始めてすぐかもしれませんし,少し経ってからかもしれません。
最初から減ってしまって資産がマイナスになったり。
最初は少し増えてもその後に減って,増えた分が帳消しになったり。あるいはもっと減って,トータルでマイナスになるかもしれません。
どんなに市況がいいときでも,資産がずっと増え続けることはありません。どこかで必ず,減ることはあります。
増えたり減ったりを繰り返すのは当たり前のことなんですが,「残高」が増えるだけでなく減ることもあるというのは,投資未経験者にはなかなか実感できないことだと思います。
資産を1円も減らしたくない人はどうすれば?
お金を常に、絶対に1円も減らしたくないなら,銀行の普通預金や定期預金に,1行あたり1000万円を上限として預けておくしかありません。
そうしておけば,現在の金利ではお金はほとんど増えませんが,減りもしません。
ただし,そうしておいて数字上は預金残高が減らなくても,価値は減ってしまうかもしれません。それがインフレリスク。物価が2倍になってしまえば,お金の価値は半減します(逆に,デフレになれば現金の価値は上昇します)。
1円も減らしたくないからと銀行に預けておいても,実際の価値は変化するんです。
物価上昇よりも投資の運用利回りを上げることができれば,インフレに勝つことができます。
資産の変化に耐えられるか。
投資で資産を増やすためには,短期的な値下がりにも慣れなければいけません。
資産が増えたり減ったりを繰り返すなかで,減ったときにどこまで耐えられるか。それを自分がどこまで許容できるかが,リスク許容度です。
- 絶対減らしたくないのか(そういう人は,投資には向きません)。
- 10%程度目減りしても耐えられるか。
- 30%程度目減りしても耐えられるか。
減る可能性が大きい投資は,増える可能性も大きくなります。そういう変動の大きさを,投資ではリスクと表現します(「危険性」のことではありません)。
少額から体験してみて考える。
日常生活では、何もしていないのにお金が減るという経験をする場面はないと思います。
そうなったときに自分がどう感じるかは,実際に経験してみないとわかりません。
どう感じるかは,投資信託を少額買ってみればわかります。「何もしていないのに、毎日お金が増えたり減ったり」しますからね。
その後,「今日はいくら増えた」,「今日はいくら減った」と一喜一憂することになるかもしれません。長期的な資産形成の観点ではいいことではありませんが,それも一つの経験でしょう。
そんなことをしているうちに,お金の価値や資産の価値が,相対的な,変動するものだという感覚がわかってくるでしょう。
投資することで「お金にお金を稼いでもらう」のは思ったより大変だ,難しいと思うかもしれません。何事も経験です。
失敗しながら,自分に合った方法を。
投資を始めると,失敗してかなり損をすることもあるでしょう。
投資の方法にはいろいろなものがあります。
私もいろいろなことをやり,うまくいったこともありますが,かなり失敗もしてきました。自分に合った方法を探して,長期的な資産形成につなげてください。
昨年末(2016年末)に株式市場が急回復したこともあり,最近になって投資に関心をもつ人も増えたかもしれません。でも去年(2016年)1年間を通してみると,株式市場は乱高下しました。
トランプ相場も終わりが見え,不確実性が高まってきたので,今年(2017年)も去年のようにいろいろありそうな予感がしています。
たとえば,去年秋までに投資を始めた人は年末のトランプ相場で利益が出ていると思いますが,今年は去年のようには行かないと思います。