フリーランス兼業主夫日記

フリーランス、プラスなりゆきで兼業主夫的生活になって25年超え。生活や子育ての中でブログネタを探しています。記事の内容はその時点の思いつき。現在は考え方が違っているかもしれません。

『ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由』(小林せかい著)を読みました。

 

今回読んだのは,これ。

 

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東京,神保町にある小さな食堂。

メニューは定食1つだけ。

しかも,「まかない」「あつらえ」「さしいれ」という謎システムが。

そんなお店の店主が書いた本です。

 

「ただめし」というタイトルの印象から,「フードバンク」や「子ども食堂」のような感じの話かなあと思って読み始めました。

ところが,著者が目的とするのは,それにとどまらないもっと広いもの。

 

学生のときに何気なく入った喫茶店での経験。

家出して経験した「居場所」のありがたさ。

そんな経験に基づいた,「誰もが自分でいられる場所を作る」というポリシーが貫かれています。

 

経歴も異色。

理学部数学科出身。変人ですね……(褒め言葉)

ITエンジニアとして大企業,そして今をときめくIT企業に勤務。

その後,いくつもの飲食店で修行し,開店へ。

 

店のシステムが,これまた普通じゃありません。

IT企業の経験に基づいた「オープンソース」。事業計画や経営状況,店のノウハウが全部公開されています。

「まかない」としてお客さんが手伝いに入るため,お客さんにも隠しごとが全くできない仕組み。

「まかない」に対して提供される1回分の食事券を,他の人に使ってもらうことができる「ただめし」。人と人の関係を,直接の対面や1対1の「閉じた関係」でない,螺旋型のコミュニケーションとして開いていく試み。

 

※私も以前,「開いた関係」についてこんな記事を書きました。 nshufu.hatenablog.com

 

「顔パス,常連さんという概念がない」という距離感,私は好きです。

nshufu.hatenablog.com

 

変わったことをやって批判されたり,手の内を全部公開して大丈夫なのかと指摘されたり。

それに対して,著者 / 店主は,

「真似されたとしても,未来食堂には未来食堂自身の価値があります」
「未来食堂が打ち出す次に一手を,未来食堂より先に打ち出すことはできません」(原文ママ

と答えています。

 

「まかない」としてやってくるさまざまな人を受け入れる。

「ただめし」券を利用するさまざまな人を受け入れる。

「あつらえ」のリクエストを受け入れる。

そんな「覚悟」が,全体を通じて感じられる本です。 

 

ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由

ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由

 

 

※ ところで,「未来食堂」の目指す方向とは違いますが,こんなマンガを思い出しました。