以前の記事で、「子供は見立てで遊ぶ」と書きました。
それで思い出したのが、『いやいやえん』(中川李枝子作、福音館書店)に収載されている7つの短編の中の、「くじらとり」というお話。
- 作者: 中川李枝子,子どもの本研究会,大村百合子
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1962/12/25
- メディア: 単行本
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ちゅーりっぷほいくえんの男の子たちが積み木で船を作り、くじらをとりにいくという短編です。
積み木を並べて囲っただけの「船」が本当の船になり、子供たちがああだこうだ言いながら想像上のくじらを相手に遊ぶさまは、まさに「子供の遊び」。ごっこ遊びってこうだよなあと、改めて感じます。
ところでこの有名な『いやいやえん』、発行からすでに55年も経ってしまっています。現代の評価はどうなんでしょうね。
そもそも、言葉が現代と違ってしまっています。
「やまのこぐちゃん」で出てくる「ちょうめん」(帳面)という言葉、現代ではなかなか聞かなくなりました。
「いやいやえん」で出てくる「お十じ」(10時のおやつ)という言葉に至っては、私自身も、昔から現在まで使われている場面を聞いたことがありません。
「いやいやえん」で行われている子供への接し方、つまり「わがままを言った子供を言質をとってやりこめる、わがままの理不尽さを身をもって思い知らせる」というやり方も、現代では褒められたことではないように思います。
(私自身、子供の頃から「いやいやえん」のお話自体はあまり好きではありませんでした)。
「ちこちゃん」も同様です。
もはや、「55年前はこういう時代だった」という、一種のノスタルジーとしての読まれ方をするしかなくなってしまったのかもしれないなあと思います。