※タイトルから期待しておいでになった方もあるかもしれませんが、「走れメロス」的なお話ではありません…。
都内の大学に進学し一人暮らしを始めた末っ子に、高校まで使っていた通学用自転車(ただのママチャリ)を届けることにした私。しかも、面白がって、自分で乗って現地に向かうことに。
さすがに全行程をママチャリで走りきることはできないので、これぐらいなら走れるだろうと予想した、ゴール手前約50kmの地点まで車で自転車を運搬。そこからスタートしました。
前回はこちらです。
出発時刻は午前8時45分。ジョギングペースの時速8kmで走ったとしても、6時間もあれば到着する計算です。
結構、あちこちに細い川が流れています。これは埼玉県白岡市の星川。
関東平野のど真ん中、大きな川の中流域だからかな。
走り始めて約15分、3km地点です。まだまだ余裕。
気温が上がるという天気予報でしたが、Tシャツで走って快適。
ゴールデンウィーク中の、気持ちのいいサイクリングといった気分です。
埼玉県蓮田市の元荒川。約35分経過、7km地点です。
「35分で7kmなら結構余裕じゃん?予定より早く着きすぎたらどうしよう」
……そんな余裕がありました、この頃は。写真枚数も多いし。
この道路「さいたま栗橋線」は、農地の中に工場や倉庫、大型店などが点在するバイパス風の道路で、歩行者も自転車もほとんどなく、信号も少なく、もちろん歩道も整備されていて、平坦で走りやすい道でした。
埼玉県伊奈町は「町の花」がバラということで、マンホールもバラ。
自転車で渡れない交差点が、全行程のうち合計3カ所ありました。
自転車を押してスロープを上り、歩道橋の上へ。
原市(中)交差点。1時間走行、11.5km地点。
国道16号線から17号線に入り、大宮駅に向かうと、商業施設や人通り、信号の数が増えてきました。1時間15分走行、13.2km地点。
約1時間半走行。17.3km。いいペースです。
子どもを前後に2人乗せた若いおかあさんの電動アシスト自転車が速い……。
ついていけません。
2時間ちょっとで23km走破。
— イヨ (@iyoiyo2013) 2019年5月5日
太ももが張ってきた。 pic.twitter.com/qPQe0hF94H
ママチャリの場合、スポーツタイプの自転車と違って、腕や背筋といった上半身の筋力が全く使えません。太ももだけを酷使してこぎ続けることになります。
向かい風を感じるようになり、じわじわと疲労が蓄積してきました。
このままずっと国道17号線(中山道)を南下していくと方角がだんだん南東方向にずれ、目的地に向かわなくなってしまうので、予定通り途中で右折。
そうしたら、曲がった先が「旧」中山道でした。
六辻交差点。(さいたま市浦和区かな)
2時間半走行、27.5km地点。
旧中山道か…。ここから幹線道路を外れる。 pic.twitter.com/PE6igiBEAc
— イヨ (@iyoiyo2013) 2019年5月5日
スタート時に買ったおにぎりを食べてちょっと休憩。
完全に生活道路に入りました。
そこから「新曽つつじ通り」、「オリンピック通り」を経て、荒川の笹目橋へ。
橋に向かう長い上り坂。
2時間15分走行、32.5km地点。
ところが、さあ一気に登ろうと立ちこぎを始めた瞬間。
痛てててっ。
アクシデント発生!
太ももがつりました。
ふくらはぎでなく、太ももです。
これを読んでいるみなさん、太ももがつったことありますか?
しかも、両脚です。
こうなると、自転車にまたがっていることさえできません。片脚を地面に着くと膝が伸び、太ももの筋肉が縮む側なので、その側の太ももが痙攣してしまいます。そちらを伸ばせば、今度は反対側が痙攣。キリキリキリッと痛い……。
仕方ないので自転車を止め、しゃがみ込んで両側の太ももを伸ばし、叩いたり揉んだり。
しばらくすると落ち着いてきたので、ギヤを軽くして走るかと変速レバーを操作したところ……ギヤが変わらない!変速機が効かなくなっていました。
仕方なく、よたよたと頼りない足取りで自転車を押し、坂のてっぺんまでたどりつきました。
道が平坦になったら、あとはよろよろとペダルをこいで、ゆっくりペースで走行。
ペダルを漕いでいた方が膝を完全に伸ばさずに済むので、なんとかなりそうです。
橋の上からの眺め。いい天気で見晴らしもいいけれど、太ももが痛い……。
荒川を超えたら東京都。高島平団地です。
約3時間半、35.5km地点。
古くからある大規模な団地ですが、世代交代がちゃんと進んでいるのか、若い家族連れもたくさん歩いていました。まさに、天気に恵まれた10連休の1日といった感じ。
しかし、団地を抜けたところの長い上り坂の入り口で、また両脚が痙攣!
またもやしゃがみこんで、太ももをたたいたり揉んだり。
それからは、ちょっとした坂道でさえペダルを漕いで上がれなくなってしまい、坂道のたびに自転車を降りて、よたよたと押して歩くことになってしまいました。
通りがかりの人には、「何でこんなゆるい坂を押して歩いてるんだろう?」と変に思われたかもしれません……。
その後、東京大仏通りから赤塚中央通りへ。
下赤塚駅! 38km地点、4時間走行。
石神井川(練馬総合運動場脇)、41km地点、約4時間半走行。明らかにペースがガタ落ちです。
石神井川。41km走破。足が死にそうなので、休憩しよう。 pic.twitter.com/ExZ6HlGz80
— イヨ (@iyoiyo2013) 2019年5月5日
練馬駅。
練馬区豊玉南で環七に合流!
約5時間走行、43.5km地点。
野方駅の線路は自転車で越えられない……地下道のスロープを押して降り、押して上りました。
野方ホープ(ラーメン屋)の本店ってここにあるんだ(野方だからあたりまえ)などと思いながら、環七をノロノロ走行。
高円寺駅!約5時間15分、約46km走行。
ここからさらにもう少し走って、ゴールに到着しました。
計6時間、総走行距離約51km。
「ジョギングペースなら走れるだろう」と思っていた、まさにそのペースになってしまいました。
というより、前半が快調だった分、最後はほとんど早足ペースだったということですね……。
部屋で待っていた末っ子に自転車を引き継ぎ、ミッション完了です。
やれやれ。
あとはさっさと電車で帰ってきました。
自転車の旅を終えて。
バイクで長距離のツーリングをしたことは何回もありますが、自転車でこれだけの長距離を走ったのは初めてです。
改めて感じましたが、
道はどこにでもつながっている。
飛行機はもちろん、新幹線でも一般の電車でも、そして車でさえ、そういう「連続性」はあまり感じないように思います。
それはなぜか?
移動速度が速いこともあるでしょう。
しかしそれ以外に、「隔離された空間のまま」移動するからもあるのではないでしょうか。
車など、まさに「自分の個室にいるまま移動する」ようなものですからね。
それが、バイクのツーリングだと少し感じ方が変わってきます。
生身の身体を風に曝して移動すると、何か「空間の連続性」のようなものを感じるのです。
今回、自転車で走ってみて、その感覚を改めて特に感じました。
そして、どこにでも、人の生活がある。
自転車で通過したどんな場所にも、それぞれの土地で、人々の普段の生活がありました。
あたりまえのことですが、そんなあたりまえのことを改めて感じたのです。
部活が終わった中学生がわいわいと下校していくし、子連れで先を急ぐおかあさんがいるし、駅に向かう人たちは足早に歩いているし、……あとは何だったかな。とにかく、通過するどんな町にも、そこに住んでいる人たちの「日常の風景」があるんですよ。
どんなところにも人が住んでいて、暮らしている。
そんなことが、新鮮に、実感をもって感じられました。
遠い昔、バイクで行った根室半島の先端近く、地平線が360度見えるような場所で感じたことを、埼玉や都内の幹線道路沿いで思い出しました。
今回は特に、電車でも車でもない、ごくごく普段着の乗り物であるママチャリで、生活道路を走ったからかもしれません。
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それにしても、両脚の太ももがつるとは思わなかった……。
ひどいときなど、太もも前側の大腿四頭筋(膝を伸ばすと痙攣)だけでなく内ももの筋肉(膝を曲げると痙攣)までつりかけてしまい、「膝を曲げてもダメ、伸ばしてもダメ」になりそうで、にっちもさっちもいかなくなるところでした。
日頃からジョギングをしていて決して運動不足ではないと思っている私ですが、ジョギングと自転車(特にママチャリ)では使う筋肉が違うということを、思い知らされました。
速筋とか遅筋とか、白筋とか赤筋とか、そういう違いなのでしょう。
ただし、筋肉痛は、走った当日も翌日・翌々日もほとんど出ませんでしたけどね。(えっへん)
かなりバカらしいママチャリ50kmの旅、もう1回やるか? と言われると正直微妙ですが、でも面白かったのは確かです。
それにしても、腕と首の後ろがかなり日に焼けましたが、天気が予報よりも暑くならなくてよかった……。腕の皮が1週間以上経ってからむけ始めたが不思議ですが、もしかしたらトシのせいで新陳代謝が遅くなってるんでしょうか。