確定申告の時期です。
私は古い人間なので、会社を退職し個人事業主になってはじめて確定申告をやってから10年ぐらいは紙に手書きで申告していました。
当時から比べると、今の国税庁の「確定申告書等作成コーナー」はものすごく便利です。
なんと言っても、
- 計算が自動!(あたりまえ)
- 修正がいくらでもできる!(あたりまえ)
紙に手書きでやっていたときは、これがあたりまえでなかったんです。(あたりまえ)
- 計算は電卓。
- 一度書いてしまったものの訂正は、別の用紙が手元にあるなら書き直し。そうでなければ二重線+訂正印です。
訂正だらけの申告書を提出したことも数知れません。
ところが、その「確定申告書等作成コーナー」が使いにくい、わからない、難しいという感想をよく聞きます。
(※個人事業主の青色申告決算書や白色申告の収支内訳書、帳簿つけなどの難しさは別です……)
サイトの作りは、お世辞にもいいとは言えません(特に今年はスマホ対応を追加したせいか、画面のデザインに一貫性がなく「つぎはぎ」感がひどい)。でも私にとってはすごく楽なのは確か。
どうして評判が悪いんだろう?
考えてみました。
サイトでなく、確定申告そのものが難しい、慣れていないからではないか。
おそらく、「確定申告書等作成コーナー」というサイトが使いにくいとか難しいというのではなく、確定申告そのものの経験がない、申告そのものがわからないから、サイトを使えない、難しいということなのではないでしょうか。
「確定申告書等作成コーナー」は、最初こそ「給与所得の方」「事業所得の方」といったように、確定申告書作成なのか還付申告書作成なのかぐらいは選びやすくなっています。
給与所得のみで還付申告書を作成する場合は、その後も画面の指示通りに進めていけば申告書を作れそうですが、それ以外の場合は、慣れないと難しそう。申告書のさまざまな項目がドン!と表示されるだけの画面になってしまいますから。「ここで何をすればいいの? 一体どこに何を入力すればいいの?」ということになりそうです。
確定申告の全体像をざっと理解する必要があるのでは。
やはり、サイトで申告書の作成にとりかかる前に、確定申告の全体像をざっと理解しておく必要があるのではないでしょうか。
- 収入(たくさんの種類に分類される)から控除(さまざまな項目がある)を差し引いた額(=課税所得)に税率を掛けて税額が決まるという、仕組みそのもの。
- 収入にはどんな種類があって、自分の収入がどれに該当するか。
- 控除にはどんな種類があって、自分がどれを計上できるか。
そんな全体像をです。
最初だけは、毎年発売される確定申告のムック本を1冊買いましょう。
それにはやはり、ネットではなく紙ベースのまとまった情報=書籍が一番ではないかと思います。繰り返しになりますが、私は紙の時代を生きた古い人間なので。
毎年、年末から年明けごろには、確定申告について解説している大判のムック本が書店にたくさん並びます。
各社から出版されていますが、どれを買っても大差ありません。
どの本でも、「医療費控除を受ける方」「住宅ローン控除を受ける方」「ふるさと納税した方」「株の譲渡所得があった方」など、事例ごとに申告書の書き方(手書きベース)が説明されています。
そういった本を見て書かれているとおりにやれば、手書きでも(計算や記入の手間はかかりますが)申告は可能です。
そういった本を見た上で、(さらに念を入れるなら、税務署から申告書の用紙をもらってきて下書きしたり練習したりした上で)、確定申告書等作成コーナーを利用すれば、最初からサイトを利用するよりもずっと楽に申告書が作れるはず。
1回やってしまえば、次の年からははるかに楽に済ますことができます。
ムック本も、最初の1回だけ買えば、後の年は買う必要はありません。
自分で申告書を作れば、申告会場に並ぶ必要もなくなる。
毎年この時期になると、「今年も確定申告が始まりました」とニュースで取り上げられます。映し出されるのは決まって、申告会場の混雑した風景。
でも自分で申告書を作ってしまえば、そんな会場で長時間待たされることはありません。
作成済みの申告書をぽんと提出するだけでOK。郵送だって可です。持参したとしても、その場で内容を詳しくチェックされるわけではありません。10秒で終わります。
(最近さかんにPRされているe-Taxを使えば、ネットで手続が完結するので申告書を提出する必要すらなくなるわけですが、私はそれはやっていません)
確定申告の仕組み=課税・納税の仕組みは重要。
税額がどうやって決まるかという仕組みは重要ですが、まとまって教わる機会はふつうありません。知らないとソンをする可能性だってあります。
確定申告を機会に調べてみるといいと思います。