新年度になると、小学校・中学校・高校のPTAや大学生協があっせんする保険が一斉にPRされます。
「子どもの医療費を補償します。親の万一のときも補償します。そして個人賠償責任保険もついています」というように。
個人賠償責任保険。
家族の中でだれか1人が加入していれば、家族全員(定義は要確認)がうっかり他人に損害を及ぼしたときカバーされるという保険(特約)で、掛け金も安いので、誰か1人は絶対加入した方がいい。自転車による加害事故への備えにもなります。
ただし、クレジットカードや自動車保険(任意保険)、火災保険などの特約としてついている場合が多いので、それと知らずに重複して加入している方も多いかもしれません。
「他人に対して及ぼした損害」は何でもカバーされる?
しかし、その保険(特約)で補償の対象となるのが何かについては、ぜひ一度確認しておいてください。
簡単な説明や支払の具体例をみると、ついつい「他人に損害を及ぼしたときには何でも保険金を払ってもらえる」と考えてしまいそう。
でも、補償対象にならないこともあるんです。
私が聞いた実際の例では。
PTAがあっせんしている、損害保険会社の子ども総合保険のような保険に、個人賠償責任特約がついていました。
その保険でカバーされている小学生が、体育の授業中にうっかりボールを友達の顔にぶつけてしまい、メガネを割ってしまったとのこと。
そのとき、友達のメガネを個人賠償責任保険で弁償できたでしょうか?
保険金は下りなかったということです。
それはなぜか。
「学校管理下での事故に対しては保険金は支払われない」という契約だったんです。
実際には個別の事例で判断が異なることもあるのでしょうが、「学校管理下での事故が補償対象にならない」となると、授業中はもちろん部活中の損害(例えば、他の子のラケットをうっかりぶつけて折ってしまったとか?)も補償されない可能性があります。
気になる方は、いますぐ約款を確認してみてください。保険会社に問い合わせてみてもいいでしょう。
私が加入している自動車保険「おとなの自動車保険」(セゾン自動車火災保険)の個人賠償責任特約についての記載にも、
「(注)スポーツ中の事故については、通常のプレー内で想定される行動の範囲内である場合(サッカーのプレー中に相手選手にぶつかってケガをさせてしまった場合など)は、法律上の損害賠償責任が発生しないため、お支払いの対象外となることがあります。」
との注意書きがあります。
また、大学生協の学生総合共済のパンフレットにも、
「下記のような場合は保険金をお支払いできません。
・大学の管理責任下での賠償責任(法律上個人に責任がない場合)」
とあります。
(別の箇所には「実験・実習中に発生した加害事故や……の費用を保証します」とあり、非常にわかりにくい)
そういった場合、「管理責任下」とは何か、「法律上個人に責任がない場合」とは何か、といったことを保険会社が個別に判断すると思われます。
少なくとも、授業中や部活中では、保険金が下りないことが十分ありそうです。
加入した方がいい個人賠償責任保険ですが、注意も必要です。