新聞のテレビ欄を、何とはなしに眺めるのが日課の1つです。
先日ふと目にとまったのが、NHKの「趣味の園芸」の放送。
「庭にチョウを呼ぼう」というタイトルでした。
(「庭にチョウを呼ぼう」のページに飛びます)
放送は見ませんでしたが、上記のページをみると「地域にいるチョウが好む蜜源植物(花の蜜にチョウがよく来る植物)を植えよう」という内容だったようです。
たしかに、モンシロチョウや各種アゲハ、シジミ類などがひらひらと舞う庭はいいものでしょうね。
でも、そこでちょっとひっかかったことが。
庭にチョウがくるのはいいけれど、そのチョウは一体どこで育つのだろう?
チョウはどこで育つのだろう?
チョウが飛んでくるためには、チョウがいなければなりません。
ではそのチョウはどこで育つのか。
どこに卵を産み、幼虫は何を食べて育つのか。
モンシロチョウなら、食草はアブラナ科の植物。アブラナや、家庭菜園のキャベツ、ダイコン、ブロッコリーなど。
アゲハ類なら、ミカン科のサンショウやユズ。
キアゲハなら、セリやニンジン、パセリ。
ヤマトシジミなら、カタバミ。
そんな植物が近くにあるのかどうか。そして、それらをちゃんと食べて成長できるのかどうか。
チョウは好きでも、幼虫は……?
「チョウはたくさん来てほしいけれど、幼虫が庭木につくのはイヤ」
なんていうことはないのでしょうか?
家庭菜園のキャベツにアオムシがついたら?
サンショウにアゲハの幼虫を見つけたら?
キアゲハの幼虫は、ふつうのアゲハと違ってかなりグロテスクです。
カタバミは、園芸好きな人ならきっと嫌いな雑草だと思いますが、カタバミを一掃してしまったらヤマトシジミもいなくなるでしょう。
もちろん、オオスカシバの幼虫のように、1匹でクチナシを丸坊主にしてしまうほど食べるとなると、共存もよく考えないといけないかもしれません。
人間にとって都合のいい自然、都合の悪い自然。
自然は人間にとって美しいものでもありますが、脅威でもあります。
それは、郊外の住宅街でさえ実感できます。たとえば、雑草が伸びる勢いは本当にすごい。植物が空気中の二酸化炭素から有機物を生み出す能力、つまりまるで「無」から生えてきたような雑草が大量の山になることには、心底驚嘆します。
雑草との戦いは大変ですが、でも私は除草剤のたぐいをほとんど使っていません。殺虫剤は全くです。その効果だと思いたいのですが、ウチの狭い庭には結構いろいろな生き物がいます。
「チョウには来てほしいけれど幼虫はイヤ」というような、「人間にとって都合のいい、いいとこどり」でなく、ちょうどいい共存をしていきたいものです。
今、ウチの庭は草ぼうぼうですが、たくさん咲いているネジバナにモンシロチョウ(ではなく、スジグロシロチョウかな?)がよくやってきます。(動きが速いので、スマホでは写真がなかなか撮れません)
アゲハやクロアゲハは赤い花が好きですが、ウチの庭には蜜を吸いにではなく、卵を産みにやってきます。
このサナギは、横が破れているからチョウにはなれなかったのでしょう。
「ビオトープ」という言葉も、めっきり耳にしなくなりました。
一過性のブームだったのかなあ。
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