先日はこんな記事が。
調剤薬局の薬剤師さんに無謀な議論を挑んだ記事です(デイリーポータルZ,面白くて好き)。
ところで,私の知人にも薬剤師がいます。
調剤薬局,面倒?
調剤薬局って,なんとなく評判悪いみたいですよね。
- 以前は病院で薬をもらえば済んだのに,なぜわざわざ別のところに行って薬をもらわなきゃいけないの?
- 病院で聞かれたことをなぜまた聞かれたり,説明しなきゃいけないの?
- お薬手帳を提示すると高くなるんじゃ?
などなど……。
でもメリットが。
第1のメリットは,ミスを発見してもらえること。
医師も人間。薬の量や飲み方などの指示を間違うことがあります。
調剤薬局ではそういう間違いがないかを全部チェックしてくれ,怪しいときには病院に確認してくれるんです。間違い,ときどきあるそうですよ。
第2のメリットは,薬の重複を発見してもらえること。
複数の病院にかかっている場合,それぞれで出された薬の成分や効能・効果がダブってしまうことがあります。調剤薬局ではそういうことがないかどうかもチェックしてくれ,もし重複があった場合は,ダブらないように病院と相談してくれます。
第3のメリットは,病院よりも相談しやすいこと。
病院の先生は忙しそうだったりしますし,薬が目の前にあるわけじゃありませんから,具体的な飲み方・使い方や,目的・効果・副作用などについて細かく質問しにくい雰囲気がありますよね。
その点,調剤薬局の方がいろいろ教えてもらうことができ,わからないことを質問できます。
でも,調剤薬局にも限界が。
たいていの調剤薬局は,病院のすぐ近くにあります。
そのことからくる限界があるんです。いわゆる「大人の事情」です。
ですから,患者側もその点は考慮しなければいけません。
「かかりつけ薬剤師」制度について。
平成28年4月から,「かかりつけ薬剤師制度」というものが始まりました。
特定の薬剤師さん個人を自分の担当として「指名」すると,その薬剤師さんが薬について全般的に管理し相談にも乗る義務を負い,患者はそれに対して多少の費用を払うという制度です。
簡単な解説が見つからなかったんですが,下のリンク先を見てみてください。
上記のページでは,かかりつけ薬剤師のメリットが3つ挙げられています。
- いつも同じ薬剤師が薬のことをまとめて把握
- 体調変化の確認や薬の管理も万全に
- いつでも相談でき夜間休日の対応も
ただし,かかりつけ薬剤師を指名すると,薬をもらうたびに1回100円程度,よけいに費用がかかるとか。
「かかりつけ薬剤師」じゃなくても。
「かかりつけ薬剤師」を特に指名しなくても,上記の1と2については,お薬手帳を持っていけば,どこの調剤薬局でもやってくれるはずです。ただし,調剤薬局でなく病院の院内で出された薬を使っている場合はお薬手帳に記録されないでしょうから,(かかりつけ薬剤師制度を利用するかどうかにかかわらず)そういう薬についても,調剤薬局利用時にはちゃんと申し出る必要があります。
3については,「かかりつけ薬剤師制度」を利用しないと夜間・休日の対応はしてもらえないかもしれません。でも,かかりつけ薬剤師制度を利用していても,24時間対応はその調剤薬局として行えばよく,指名した「かかりつけ薬剤師」個人に24時間対応してもらえるとは限らない(その調剤薬局の体制によって変わる)らしいです。
私としては,病院ごとにすぐ横にある調剤薬局を利用するのではなく,
- 自宅から不便でないところにあり,
- あまりバタバタと慌ただしくしているわけでなく,
- 話しやすい薬剤師さんがいて,
- 相談しやすい雰囲気
の調剤薬局をいつも利用するようにしておけば,特に「かかりつけ薬剤師制度」を利用しなくてもいいのではないかと思います。
事実,患者さんの中には,「○○さんいますか?」と特定の薬剤師を呼んで相談している方もあるそうです。よっぽど忙しい時間帯でなければそういう相談にも乗ってもらえると思いますし,個人的に頼りにされるのは,薬剤師としても嬉しいんじゃないかと思います。
急性疾患でたまにしか病院に行かないのならともかく,慢性疾患で定期的に通院している方は,あちこちの調剤薬局に行ってみて,行きやすい薬局を探してみてはいかがでしょうか。
処方箋は,日本中どの調剤薬局でも受け付けてくれます。病院のそばの薬局じゃなきゃダメということはありません。