2016年のニュースを経済学の視点から考えよう、というものでした。
出演は又吉直樹さん、大阪大学教授大竹文雄さん、春香クリスティーンさん、NHK森田洋平アナの4人をメインに貸し切りバスで都内を移動しながらの収録です。
春香クリスティーンさんは国会オタクで、週4回傍聴に行くこともあるんだとか。意外。
今年のニュース1:「保育園落ちた、日本死ね」
バスは羽田空港の保育園へ。
羽田空港第1ターミナル2Fレストランフロア。
関係者のみのインターホンで別エリアに入ると、そこには保育園が。
「アンジュ保育園」、利用者は9割が空港で働く人たち。飛行機が見える保育室、見晴らしもよくていいですね。
32人の保育士がシフト制で午前4時から夜11時半まで保育。
定員120人のところを+20人まで増やして対応しているとのこと。
ここでゲストの犬山紙子さんが参加。妊娠9ヵ月。
保育士さんのコメント(待機児童問題は)「ここまで頑張ってもまだ解消できないのかな」
犬山さんは安定期に入った妊娠5ヵ月ごろから保育園に見学の電話をしたらもう遅くてびっくりしたとか。500人待ち、再来年まで…など。
2016年の厚生労働省の調査によれば、
保育所の定員:2009年 213万人 → 2016年263万人
利用者数: 2006年 204万人 → 2016年246万人
待機児童問題の理由
- 女性の社会進出(働くのがあたりまえになった)
- 共働きの世帯数増加(共働きでないと生活できない)
- 保育士を確保できない
2012年:1.36倍 → 2016年:2.44倍
ただし、東京に限れば有効求人倍率は5倍(!)。
保育士の登録者数・勤務数
2008年:登録73万人、勤務36万人
2015年:登録119万人、勤務42万人
→有資格者は増えているが勤務数はあまり増えていない(潜在保育士)
保育士は低賃金(平均と比べて10万円低い)
→家賃補助などで他の地域から都内に保育士を採用する試みが行われている(世田谷区など)
女性がキャリアを捨てると社会的にも経済的損失が大きい。全員で支えてもおつりが来てみんなが豊かになるのでは。
今年のニュース2:ドヤ家電。
続いてバスは大型家電量販店へ。
ここでゲストの土田晃之さん参加。
ドヤ家電:「持っていると人に自慢したくなる家電」だそうです。
情報が多すぎて困ってしまうときにストーリーがあると選択しやすい。
イスラエルの経済学者トバースキーの「理由に基づく選択理論」
人が選択を行うときはその選択肢を選んだ納得のいく理由やストーリーが必要で、選択を合理化できればたとえ矛盾があってもかまわない
「 消費者は、意外に自分がほしいものがわかっていない」なんていう話がありました。
ここで番組スタッフからバルミューダのトースターが又吉さんにプレゼントされました。NHKなのでバルミューダとは言ってませんでしたが。
今年のニュース3:バスタ新宿開業。
次にバスは新宿南口に新設されたバスターミナル「バスタ新宿」へ。
一番遠くまでのバスは博多行きで8000円、14時間かかるが人気だそう。
- 安い
- 夜に出発して翌日到着するので宿泊費がかからない
「機会費用」
他の選択肢を選んだ場合に得られたであろう利益。
この場合夜に仕事をするわけではないので、寝ていた方が機会費用の節約になる。
今年のニュース4:熊本地震。
バスは銀座の熊本県アンテナショップ「銀座熊本館」へ。
アメリカの著作家レベッカ・ソルニットの「災害ユートピア」の話。
「地震・爆撃などでは、緊迫した状況の中で誰もが利他的になる」
人々が協力し合い調和を目指すことを社会資本としてとらえた考え方。
ソーシャルキャピタルが高いと社会や経済の効率性が高まると考えられている。
ソーシャルキャピタルが高い地域では、復興の過程で住民満足度が高かった。
狭い中で強く結びついているといざというときあまり役に立たない。
ちょっと離れているのが大事かも。
====================
こんな内容でした。
待機児童問題については、(日本全体では定員が足りてるのが意外でしたが)まあ普通の内容。
「ドヤ家電」は初耳でした……。バルミューダは扇風機で始まったのだと思いますが、今年はトースターがブレークして一気に有名になりましたね。
そういえば、昔は、「ニーズじゃなくニーズになる前のウォンツを探せ」なんて言われていました。今はそういう言葉あるのかな。
「機会費用」という言葉は、どうも感覚的にうまく理解できないでいます。「機会損失」はよくわかるんですが。
「ソーシャルキャピタル」……災害時のための近所づきあいに限らず、昔のような息苦しい「緊密な共同体」ではない、空間的距離に限らない「広い範囲のゆるいつながり」が必要かもしれないし、私にはそういう関係が合うなと思っています。
再放送は12月23日(金)(12月22日(木)深夜)午前0:30から。
次回は「オイコノミア流2016年のニュースはこう読め!下半期編」、ゲストは千原ジュニアさん、杉山愛さん。リオオリンピック、ノーベル賞、イグノーベル賞なんかの話題が出るようです。
※梅原大吾さん出演の回が2017年1月4日(水)午後10:00~と1月6日(1月5日深夜)午前0:30~、
ハンバート ハンバート出演の回が2017年1月25日(水)午後10:00~と1月27日(1月26日深夜)午前0:30~
に再放送されるようです。
関連記事:
NHK Eテレ「オイコノミア」、「笑って納得! 落語の経済学」。
NHK Eテレ「オイコノミア」は「ウマい話にだまされない経済学」。
今週のNHK Eテレ「オイコノミア」は「シングル続ける? 続けない?結婚の経済学」でした。
今週のNHK Eテレ「オイコノミア」、テーマは「音楽の経済学」。
今週のNHK Eテレ「オイコノミア」は「賃金の経済学」でした。
先週のEテレ「オイコノミア」は「人生というゲームに勝つ」,ゲストはプロゲーマーの梅原大吾さんでした。
NHK Eテレ「オイコノミア」。今日のテーマは「40歳からの働き方」でした。