2月15日放送のNHK Eテレ「オイコノミア」は、「兄弟姉妹の経済学」でした。
出演はいつもの大阪大学社会経済学研究所教授大竹文雄さん、又吉直樹さん、そしてゲストの中川家のお二人。姉妹がやっている飲み屋「だるま」での収録です。
姉がいる男性はやさしい?
大竹先生ご自身の研究によれば、
「姉を持った男性は競争的報酬を好まない」そうです。
迷路を解いてもらう実験:
迷路を解いてもらうが、報酬を2通りから選んでもらった。
その結果、
姉のいる男性は(1)を選ぶ傾向があった。
女性同士、男性同士のきょうだいの場合は競争をあまり嫌わない傾向があったということです。
弟を持った女性は、妹を持った女性に比べて競争好きで自信がある(男性的)傾向。
姉を持った男性はやさしく協調的な、女性の性格をもつ傾向がある。
この傾向は、姉-弟ペアの方が、兄-弟ペアよりも強く出る。
これは、姉の方が下の子の面倒をよく見るため性格面の影響を受けるからではないか。
影響しあう存在としてのきょうだい。
学力が高いきょうだいがいると、刺激を受けて他の子の学力が高くなることが多い。
→「ピア効果」
「意識や能力の高い人や集団と切磋琢磨しお互いを高め合うこと(正のピア効果)」
友人やライバルの存在。
水泳で両側のレーンに競争相手が居るときの方が好タイムが出やすいことがわかっている。
ただし、マイナスの効果もあるので注意。
遺伝の影響。
遺伝子と環境それぞれで決まる割合は?→ざっくり半分程度。
パーソナリティ・外向性・神経質などは40%、
知性・学力は50~60%程度。
小さいときは自分では環境を選べない。
大きくなると自分で好きな環境を選ぶことができるようになる。
→「遺伝と環境の能動的相関」
遺伝的特性に合うように自らが環境を選択するという傾向。
兄弟がいないとどうなるか?
中国では1979年から2015年まで「一人っ子政策」。
1979年に生まれた人400人を対象に実験。
「信頼ゲーム」
- Aさんに1万円を渡す。
- Aさんは、好きな額を払う。
- Aさんが払った額の3倍の額がBさんに渡される。
- Bさんは好きな額をAさんに渡す。
※ただし、AさんもBさんも1円も払わなくてもよい。
A・Bの2人にとって最善なのは、「Aさんが1万円全額を払い、Bさんは受け取った3万円の半額、1万5千円をAさんに渡す」(=2人とも手元に1万5千円が残る)こと。
これにより、Aさんが他人(Bさん)をどれだけ信頼したかがわかる。
中国でのこの実験では、「信頼感が少なくリスクをとることも少なかった」という結果になった。ただし、一人っ子政策の中国と違い、日本ではここまで極端ではないのでは。
このような性格は、もしかしたら今後の中国経済にも影響を及ぼすかもしれない。
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こんな内容でした。
経済学というよりは、教育心理学のような内容だったかもしれません。
※それにしても、大竹先生が「~なんていう研究結果があるんですよ」というたびに、文献が画面すみっこに表示されるのは丁寧、というかこだわりが感じられます。
上の子自身が作る環境、上の子のために親が作る環境が、下の子に影響を及ぼすことは絶対にあります。
私自身、3人兄弟の真ん中ですが、子どもの頃は、兄がやっていたことを同じようにいろいろやりました。もちろん、大きくなるにつれてやることもだんだん変わっていくわけですが。
また私の妹は、兄2人にいいところをみんな取られたと文句を言っています。上のきょうだいが作った環境に縛られ、その一方でその環境内では「先行者利益」をとられ勝つことはできず、自分のアイデンティティ確立が難しい面もあるのかもしれません。
ウチの3人の子は。
3人とも、一人っ子のようにマイペースで育っています。それぞれ性格も違いますが、でも大きくみると似たようなタイプ。遺伝と環境の両方なのでしょう。
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