長男に吃音があるため、私が吃音関連書籍を探したのは約10年前のこと。
当時は、Amazonなどで検索しても、ヒットする吃音関連書籍はそれほど多くなかったように記憶しています。
それが現在では。
Amazonで「吃音」と入力して検索すると、454件もヒット。
時代は明らかに変わったようです。
しかし、社会の中の意識や知識はどうでしょうか。
吃音のあらわれ方は3種類あります。
- 連発。初めの音が繰り返し出てしまい、「お、お、お、お、おはようございます」というようになるもの。
- 伸発。初めの音が伸びてしまい、「おーーーはようございます」というようになるもの。
- 難発。「…………っっっっおはようございます」のように、初めの音が、喉が詰まったようになり出ないもの。
連発は他人から見てわかりやすいですが、特に難発は、「そういうタイプの吃音がある」と知っていなければ、言葉が出ないその様子がいったい何なのか、全くわかりません。
しかも、吃音のある本人は、成長とともに吃音を上手に(しかし苦労して)隠すことができるようになっていきます。
2016年の「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(通称「障害者差別解消法」)施行により、入試や就活などで合理的配慮を求めやすくなってきたこと。
また、平成17年(2005年)の発達障害者支援法で、発達障害の中の「言語の障害」に含まれていること。
これらのことは、最近まで私も知りませんでした。
100人に1人の割合でみられ、100年以上も前から世界で(そして特に日本で)治療が試みられてきた歴史があり、さまざまな原因説や治療方法が提唱されてきたにもかかわらず、誰にでも効果のある治療法は、まだない。
症状に個人差があり、同じ個人でも状況によって症状が一定しない、わかりにくさ。
そんな吃音について、手軽な新書で総合的に知ることができる本です。
『吃音の世界』菊池良和 著、光文社新書
医師であり自身にも吃音のある著者が、自身の経験、吃音の原因と治療が研究されてきた歴史、吃音外来の具体例、吃音と社会など、吃音に関するさまざまなトピックが総合的かつ簡潔にまとめられています。
100人に1人もの割合の人が、どんな困難をかかえて日々生活しているのか。
その一端を、たくさんの人に知ってほしいと思います。