個人賠償責任保険(特約)について少し調べたので、記事にしています。
今回はその2。前回はこちらです。
個人賠償責任保険(特約)のいいところは、家族のうち1人が加入していれば家族全員(同居家族と別居の未婚の子)が補償対象になるところ。(私が加入しているものはそうなっています。読者の保険・特約が同じかどうかはわかりませんので、ぜひご確認ください)
つまり、「別居の未婚の子」、つまり下宿中の大学生とか、就職して他の地域に引っ越した未婚の子も、補償対象になるわけです。
別居のとき他人に損害を与える可能性の1つとして思いつくのが、賃貸アパートでの損害です。
不動産会社によっては、指定の損害保険に加入するよう求められることがあるでしょう。でも、すでに加入済みの保険があればそれでOKということにしてくれる場合もあるかもしれません。
では、「他人に対する損害をカバーしてくれる」個人賠償責任保険で、賃貸アパートで他の入居者や大家(=建物)に損害を与えた場合にも保険金は支払われるのでしょうか。
「個人賠償責任保険で借家人賠償責任までカバーできるのか」。
ちょっと無理がありそうなテーマですが、そんなことを調べてみました。
個人賠償責任保険で、賃貸アパート生活での損害がカバーできるか。
今春、末っ子が下宿を始めるので、このあたりがいったいどうなのか。
思いついた3種類の保険について調べてみました。
大学生協の学生総合共済の場合。
2019年版の学生賠償責任保険には、「19H」と「19HK(「一人暮らし特約」つき)」の2タイプがあります。
19Hは「ご実家から通学される方におすすめ」で、「個人賠償責任保障」(日常生活個人賠償責任保障特約)などが含まれています。
19HK(一人暮らし特約つき)は「実家以外から通学される方におすすめ」で、19Hの保障内容に「借家人賠償責任保障」(借家人賠償責任保障(オールリスク)特約)などが追加されています。
19Hタイプの個人賠償責任保障の説明には、「日常生活での他人に対する賠償責任を保障。例)他人の財物や商品を誤って破損させた」とあります。
「賃貸アパートだって大家さんの「財物」だから、うっかり破損させたとき補償対象になるのでは」と考えるかもしれません。
パンフレットの後の方に、「制度のあらまし」として補償対象が細かく記載されています。
その中に、「ア. 住宅の所有、使用または管理に起因する偶然な事故」とあります。
「やはり、賃貸アパート自体に対する損害も補償対象に含まれそうだ?」と考えそうです。
ところが。
別の箇所の「保険金をお支払いしない主な場合」の最後に「別記の「保障対象外となる主な『受託品』の損害」とあり、該当する「別記」部分を見ると、リストの最後の方に「建物(畳、建具、浴槽……)」という記載があるんです。
(電話で問い合わせてわかりました)
結論:この共済(19H)の「日常生活個人賠償責任保障特約」では、賃貸アパートの部屋自体(=大家さん)に対する損害は補償されない。
他の住人に対する損害は補償されるのではと思いますが、「保障対象外となる主な「受託品」には、パソコンや携帯など意外にいろいろなものが含まれているので要注意です。
大学生協の学生総合共済で賃貸アパートの部屋・設備・建物など自体に対する損害をカバーするには、19Hタイプでなく「借家人賠償責任保障」が含まれている19HKタイプに加入しなければなりません。
自動車保険に付帯されている個人賠償責任特約はどうか。
次は、自動車保険(任意保険)の特約です。
私はセゾン自動車火災保険の「おとなの自動車保険」に個人賠償責任特約をつけているので、この特約について調べてみました。
この特約も、同居家族および別居の未婚の子がカバーされます。
保険金が支払われる例として
- マンションで洗濯機から水が溢れ、下の階の戸室に被害を与えてしまった。
とありますが、この記載では「下の階の住人の "持ち物" に損害を与えた」のか、「下の階の "建物(天井など)" に損害を与えたのか」、それに「マンションが賃貸なのか=大家に損害を与えたのか」がわかりません。
そこで、電話で問い合わせてみました。
その結果。
- 建物に対する損害=大家さんに対する損害は補償されない。
ことがわかりました。
ほかにも、保険金が支払われない主な例として
- 借りた物や預かった物に対して生じた賠償損害(友人から借りたデジタルカメラを落として壊した場合など)
などがサイトに記載されており、気をつけなければと改めて感じました。
火災保険に付帯されている個人賠償責任特約はどうか。
それでは、火災保険に付帯されている個人賠償責任特約はどうでしょうか。
同じセゾン自動車火災保険の「じぶんでえらべる火災保険」について調べてみました。
やはりこの特約も、同居家族と別居の未婚の子がカバーされます。
ここにも、保険金が支払われる例として
- 給湯管から水漏れして階下の戸室の天井にシミ
とあります。
建物に対する損害なのはわかりますが、これが賃貸の場合なのかどうかがわかりません。 そこで問い合わせてみました。
まず注意点として、これは火災保険ですから、自己所有の家・マンションでないと加入できません。では、この特約でカバーされる別居の未婚の子が損害を与えた場合はどうなのか。
電話で問い合わせたところ、
- 賃貸アパートの建物(大家さん)に対する損害も、補償対象になる。
との回答でした。
ややこしい……。
結局どうすればよいか。
学生が賃貸アパートに入居するとき必要な保険について考えてみましたが、
- 不動産屋(=大家さん)が指定する保険に加入する。
他の保険でもいいというなら、
- 学生総合共済の学生賠償責任保険一人暮らし特約つき(19HK)に加入する。
- 親の火災保険の個人賠償責任特約の補償対象を確認する。
あるいは、
- 別の借家人賠償責任保険に加入する。
のどれかにすればよさそうだという結論になりました。
必要な掛け金の額もさまざま、借家人賠償責任保険で補償対象となる損害の種類もさまざま。「オールリスク」という用語もあったので、一見同じ「借家人賠償責任保険」というような名称でも、詳しくみると補償対象が「火災・水ぬれ」だけか、それ以外の不慮の損害(雨の吹き込みなど)も補償対象に含まれるか等によって必要な掛け金に違いが出そうです。
以上、少し時間をかけて調べた結果を簡単にまとめてみました。
興味のある方の参考になれば幸いですが、上記はあくまで私の理解。
保険・共済加入については、どうかご自身で詳しく調べて最終判断してください。