認知症高齢者の事故でまず問題になるのは自動車の運転ですが、今回はその点ではなく、認知症高齢者が(自動車の運転以外で)他人に損害を及ぼした場合に、個人賠償責任保険の補償対象になるのかどうかについて、少し調べてみました。
まず参考にしたのはこちら。
「認知症保険」と呼ばれるものには、契約者(自分)が認知症になったときの治療や介護に備えるタイプ(生命保険)と、認知症の家族が他人に損害を及ぼしたときに備えるタイプ(損害保険)の2通りがあるそう。
本人の治療についてはともかく。
家族が他人に損害を及ぼしたとしたら、損害賠償が高額になる可能性があります。
それに備えるための保険としては、個人賠償責任保険があります。
火災保険や自動車保険、クレジットカードに特約として付加する(あるいは付帯している)場合が多いもの。
家族の1人が加入すれば家族全員がカバーされ、掛け金も安く、高額の補償が得られますから、自転車事故に備えるために今日では必須といってよいと思います。
(同じテーマで記事を2回書いちゃったのかな)
この個人賠償責任保険で、認知症高齢者が他人に及ぼした損害に対する補償もカバーされるのでしょうか。
冒頭に挙げた記事を読んでみると、
- 認知症患者が他人に損害を及ぼした場合、本人に責任能力がなく賠償責任がないと、監督責任を負う家族が賠償責任を負うことになる。
- その場合、その家族が個人賠償責任保険でカバーされていれば、補償を受けることができる。
ということになりそうです。
ただ、
「一般的に個人賠償責任保険は、相手をケガさせたり器物を破損した場合に補償するのが原則です。そのため認知症の人が徘徊し、線路に入って電車を止めてしまい振替輸送料や人件費を請求された場合は、保険金が下りません」(上記週刊現代記事より)
ということもあるとか。
また、一人暮らしの高齢者(別居している老親)が他人に損害を及ぼした場合、それに対して別居家族の個人賠償責任保険で補償が受けられるのかどうか。(上記の記事は、家族と同居している前提で書かれているように思います)
- 別居家族が加入している個人賠償責任保険では、一人暮らしの老親はカバー対象になりません(補償対象は、たいていの場合「同居の家族と別居の未婚の子」ではないでしょうか)。
- ただ、認知症の本人に責任能力がないと判断されれば、「監督者である家族」が責任を負うことになりますから、「補償対象となる家族(契約者)が損害賠償責任を負った」という意味で補償の対象になる、ということはないのか?
このあたりがよくわかりません。
保険会社によっても、対応が分かれそうな気がします。
一方、認知症高齢者とその家族に保険加入を促している自治体も出てきています。
ご家族に認知症の方がいらっしゃる場合、保険についてもよく調べておいた方がよさそうです。