こんなツイートを拝見しました。
https://t.co/s3rKh0hYXA
— トイレスタンプ香りジェル (@Conscript1942) 2019年1月19日
今や世界を席巻しイタリアでは政権を取るまでに至り、欧州だけで半年で4万の麻疹感染者と40の死者を出してWHOに世界の健康脅威と名指しされた「反ワクチン運動」の教祖ウェイクフィールド(後に論文の捏造が暴かれ医師免許剥奪)がなぜ支持を集めたかを考察した医学書院の記事
引用されている記事はこちら。
- イギリスの医師ウェイクフィールドが発表した「 MMRワクチンが自閉症の原因」という仮説は医学的検証により否定され,ウェイクフィールド自身も医師免許まで剥奪された。
- それにもかかわらず自閉症児の親から支持を集め続けている。
- どれだけ客観的事実を積み重ねても受け入れられないのは,医療に対する不信がそれだけ大きいからではないか。
という内容です。
根拠のない「トンデモ」がん治療も同様では。
がんで亡くなった経済評論家の金子哲雄さんの本を読んだことがあります。
これに,似たような状況が描かれています。
治療が困難な,珍しいがんにかかった金子さん。
そんな金子さんに対して総合病院の 対応は冷たい。(と感じられた)
一方,高額の自由診療を行っている病院は親身になって話を聞いてくれ,苦痛を取り除くことができた。
その自由診療を受けて本当によかったと思う。
そんなお話だったと記憶しています。
客観的にみれば,「科学的根拠がある標準治療を受けないのはなぜか」「効果が証明されていないトンデモ医療を受けるのは一体どうしてなのか」ということでしょう。
患者が求めているものと,日本の医療で現代医学が提供できるものが違ってしまっているのではないかと想像します。
死に直面した患者は,なによりもまず,自分の気持ちをわかってもらいたいのではないか。
そのような患者に対し,標準治療は,科学的・統計学的に効果が確認されたということだけでは説得力が足りないのではないか。
おそらく,現在の医療の現場は,1人1人の患者に寄り添ってていねいな説明をし,不安を取り除き,十分な納得感が得られるまでフォローすることが難しいのではないでしょうか。人的=時間的=経済的資源が足りないために。
今の医療現場は,その全てが逼迫しているのではないでしょうか。
一方,自由診療のトンデモ医療を行う病院では。
高額の自由診療を行うため,経済的に潤い,それによって豊富な人員を確保し時間的余裕を生むことができる。それにより一部の患者の評価が高くなり,患者が集まる。そして高額の自由診療を行うことができる。という「好循環」が生まれていそうです。
情報提供が十分なのかどうかや,患者の側の科学的リテラシーの問題ももちろんあるでしょう。
しかし,それだけではないと思うし,その方向からだけ解決策を考えていたのでは,いわば「上から目線の」対策にとどまるのではないかと思うのです。