庭のシソを眺めていて思い出したことがあります。
バジリコスパゲティー。
おそらく、今はこういうネーミングのスパゲティはほとんどありませんよね?
バジルでなくバジリコ。スパゲティでも、もちろんパスタでもなく、スパゲティー。(スパゲッティーの方が雰囲気が出るかな)
スパゲッティーと言えば、ミートソースとナポリタンしかなかった時代。
そもそもファミレスというものさえほとんどなかった昭和50年代。"スパゲッティー" は、喫茶店の軽食メニューでした。それも、ミートソースとナポリタンの2種類だけ。
その2つでない、新しいスパゲティーとして登場したのが、バジリコスパゲッティーです。当時のバジリコスパゲティーは、スパゲティに、細切りにしたシソと、たぶんバターを和えて、味を調えただけのものでした。和風ではなくあくまで洋風という位置づけ。
これが新しかった。
今でこそ、バジリコ(イタリア語。英語名バジル)は西洋ハーブの1つだと誰でも知っていますが、当時はこんな言葉、全く聞いたことがありませんでした。ですから、当時中学生か高校生だった私は、日本のシソはどこかの国の言葉でバジリコと呼ぶのだと思い込んでいました。
バブル時代のイタメシブームよりも10年ぐらい前のことです。当時珍しかったスパゲティ専門のチェーン店で、BUITONIという店がありました。(和風パスタ料理チェーンの五右衛門などが出てくる少し前の時代だと思います)
※ブイトーニブランドのパスタ関連商品はその後カゴメが販売するようになり、さらにその後、パスタ商品の販売権はネスレなどに移転したようですが、昭和50年代のBUITONIをどこが経営していたのかはよくわかりません。
当時高校生だった私が、ある大手百貨店の外食フロアに入っていたBUITONIの店で、とある女の子と2人でスパゲティを食べたことがありました。その時食べたのがバジリコスパゲティだったように記憶しています。いや、もしかしたら「イタリアン」なんていう今からすると謎なネーミングのスパゲティだっただろうか……。(新潟で現在有名な「イタリアン」ではありません)もう何十年も前のことなので、よく覚えていません。
あの女の子は今ごろ、どこでどうしているんだろう。
バジリコスパゲティーを再現しようとしてみたけれど。
そんな思い出に浸りつつ、当時のバジリコスパゲティーを再現してみようと、庭のシソを摘んでやってみました。
材料は、シソとバター(はないのでマーガリン)と塩。醬油も少々。
マーガリンを溶かして刻んだシソと和えておき、塩と醬油を少々振っておいて、茹でたスパゲティとからめてみました。
……うーん何か違う。っていうか、全然違う。全く違う。
こんな見た目じゃなかった。
シソが、もっと鮮やかな緑で生っぽかった記憶があります。生の葉っぱを最後にトッピングするように載せればよかったか。それに、ちゃんとバターを使えば味ももう少しマシになったかな。
出来上がったものは、遠い昔になってしまった思い出と同じく、しなびた感じの一皿でした。