毎日毎日,NEM流出事件のニュースばかりです。
(「かぼちゃの馬車」シェアハウス運営会社破綻の件も大変そうですが)
NEM流出のニュースは「ところで,仮想通貨とは……」という説明から始まることが多いんですが,仮想通貨って結局,一体何なんでしょう?
例えば,国内最大手の取引所であるBitFlyerの説明は,こうです。
「仮想通貨とは、インターネットを通じて不特定多数の間で物品やサービスの対価に使用でき、中央銀行などの公的な発行主体や管理者が存在せず専門の取引所を介して円やドル・ユーロ・人民元などの通貨と交換できます。仮想通貨の種類は600種類以上あるといわれています。」(bitFlyerのサイトより)
何だかよくわかりませんよね?
※個人的には,翻訳調のときによくみられる「~とは,~できます」という文章は,意味を成していない(説明になっていない)ので嫌い。
「ポイント」に例えてみたらどうでしょう。
ごくごく大まかな理解としては,「ポイント」に例える方法がいいのではないかと思っています。Tポイントや楽天ポイント,それに家電量販店やスーパー,ホームセンターなどが独自に発行しているポイントです。
似ているところ:
- 「お金」として使え,商品を買うことができる。
- 政府や中央銀行が発行しているわけではない。ポイントは誰でも好きなように発行できます。仮想通貨も,「誰でも」発行できるらしいです(それを使ってくれる人がいるかどうかはともかく)。「誰でも」発行できるらしいので,詐欺のような仮想通貨もあるとか? (ポイントも,発行している店がつぶれたら消滅しますよね)
- 種類によって特徴がある。例えば,「Tポイントはどこそこのお店で使えます」,「楽天ポイントは○○に使えます」……というのと同様に,仮想通貨にも種類によって「できること」「特徴」などに違いがあります。
違うところ:
- 仮想通貨自体を,日本円などの法定通貨で売り買いすることができる。(それに対してポイントの場合、ポイント自体を売り買いすることはできません。例えば,「他人のTポイントを○○円で買い取る」ということはできません)
- 法定通貨で売り買いできるので,株式や外国為替と同様の取引市場ができています。そこでは株式や外国為替と同様に,相場(売買レート)が変動します。その結果,日本円などの法定通貨に対して値上がり・値下がりするので,投資や投機の対象になります。
- 信用の根拠が違います。ポイントを信用できるのは、それを発行している企業が信用できると考えるから。(つぶれるかもしれない会社のポイントは怪しいですよね。)仮想通貨の信用は,その基礎にある技術(「ブロックチェーン技術」)とその将来性に対する信頼,運用体制に対する信頼,発行数量が有限であること(=希少価値)などにより成り立っています。
- ポイントはお金の代わりになるだけですが、仮想通貨には、その種類によって、お金としての機能以外にも応用の可能性がいろいろあるようです。
いろいろ考えてみると。
自分なりに整理してみると,仮想通貨は、
- 「ポイント」と,株式,外国通貨(米ドルなど)の性質を併せ持っている感じ。
- 株式のように出資をつのる手段として使われたり,外国通貨のように日本円との間で売買取引が行われ,変動する売買レートが存在する。
- 信用(価値)は,その基礎にある技術や発行数量が有限であることにあると考えられている。
※「管理者がいない」「非中央集権的」などと表現されることもありますが,今回のNEM流出・盗難事件におけるNEM財団のように、それぞれの仮想通貨を運営している・仕組みに介入できる組織はあるようなので,「管理者がいない」という説明には少し疑問を感じています。
将来性が全くわからない詐欺のようなコイン(仮想通貨)も発行されているということは,やはり発行体が重要だということでもあるはず。「管理者がいない」という表現がどこまで実態を表しているのか,よくわかりません。