毎日、朝食を食べながらNHKおはよう日本の天気予報を見ています。
今朝は、教科書のような西高東低の強い冬型。寒い1日という予報でした。
「風は等圧線に沿って吹きますから」
(等圧線が縦じまだったので)北風が強い、という話の流れでした。
風は等圧線に沿って吹く?
等圧線が縦じまのとき、北西の季節風が吹きますよね。正確に言えば「等圧線にナナメに」なんでしょう。(注)
でも、なぜ等圧線に対してナナメに吹くのか?
水は高いところから低いところに流れます。
等圧線は、地形でいう等高線と同じ。ならば、水と同じように風だって高い所から低いところに向かって、つまり気圧が高いところから低いところに向かって吹くはず。
そのとき、風の向きは等圧線と直角になるはず。
どうしてナナメになるんでしょう?
コリオリの力が働くから。
等圧線に直角に吹こうとする風の向きをナナメにずらす、みかけ上の力が働くからです。
それが「コリオリの力」。
例えば、等圧線が本州と平行に(北東-南西の向きにナナメに)並んでいるとします。
バイカル湖から東京に向かって、等圧線に直角に季節風が吹き始めたとします。
するとどうなるか?
バイカル湖から吹き始めた風が、中国東北部を通って日本海を渡って本州、東京に到達するまでの間に、地球が自転してしまいます。西から東に。
つまり、風が東京にとどくまでの間に、東京がどんどん東に逃げていくんです。
風がもともとの目的地に届くころ、そこにあった東京は東にズレてしまい、その場所は、西から東向きに移動してきた大阪や福岡になってしまっています。
東京に向けて吹いた風が、東京ではなく大阪とか福岡に届いてしまうんです。
この様子を宇宙から眺めていたら、風の通り道は直線に見えるでしょう。
でも地球上で見ていたら。
例えば、バイカル湖畔から日本を見ていたら。
まっすぐ吹き出した風が右に曲がっていくように見えるはず。正面の東京ではなく、もっと右にある大阪や福岡に届いてしまうんですから。
あたかも、なにか目に見えない力が働いて右に押されているように、です。
この、目に見えないみかけ上の力をコリオリの力と呼びます。
このように風向きが曲がってしまうため、風は等圧線に直角に吹かず、ナナメになってしまうんです。
低気圧や高気圧、台風などの大気の渦が生まれるのも、コリオリの力が働くからです。
(注)ところが、高度1000mというような上空では、風が等圧線と平行に吹くらしいということを今回初めて知りました。気圧の傾きによる力とコリオリの力が釣り合い、等圧線に平行に吹く地衡風という風になるそうです。
そうだったのか……。ということは、冒頭の平井さんの言い方は正しいとも言えるわけです。
ところで、この天気予報を見ながら、一緒に朝食を食べていた高校生の息子に「風向きがどうして等圧線と直角にならないか知ってる?」と聞いてみました。
すると、例によってぼそっと「………コリオリの力………」。
即答でした。さすが!