知り合いの知り合い(アラフィフ)が、銀行でNISA口座を開設したそうです。
「ようやく?」とか「証券会社じゃなくて銀行で作っちゃったの?」とか「iDeCo(個人型確定拠出年金)は?」とか、いろいろツッコミたいところはありますが、まあそれはいいとして。
そんな初心者の方に説明する予定があるわけではありませんが、インデックス投資信託を10年前から買っていたらどうなっていたか、改めて考えてみることにしました。
インデックス投資信託。
インデックス投資信託とは、例えば日経平均株価のような特定の「指数」(=インデックス)と同じ値動きになるように運用されている投資信託のこと。そうでない「アクティブ型投資信託」と比べて大きな値上がりは期待しにくいかもしれませんが、乱暴な言い方をすれば、アクティブ型より「損をしにくい」投資信託と言えます。
そんなインデックス投資信託の中で、投資信託というものを買ったことがない「絶対損をしたくない」人がいたとしたら、まず何から勧めるだろう?と考えてみました。
国内債券型インデックス投資信託。
これがいいんじゃないか? と考えたのは、国内債券型インデックス投資信託です。
なぜかというと、国内債券市場の指数がここ10年以上マイナスになっていないからです。
国内債券市場の指数として、「NOMURA-BPI(総合)」というものがあります。この指数は、リーマンショックで株価が暴落した2008年も、東日本大震災があった2011年も、マイナスになっていない。
2005年 | 2006年 | 2007年 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | |
NOMURA-BPI(総合) | 0.8% | 0.2% | 2.7% | 3.4% | 1.4% | 2.4% | 1.9% | 1.9% | 2.0% | 4.2% | 1.1% | 3.0% |
これはつまり、おおざっぱに言えば、この指数と同じ値動きをする(=連動する)投資信託を買っていれば、毎年これぐらい値上がりしたということです。実際には運用に伴う費用がかかるので値上がりはこれより小さくなりますが、それでも定期預金の利率の100倍以上。
国内債券型インデックス投資信託を毎年買っていたらどうなっていたか。
では、その国内債券型インデックス投資信託を毎年買っていたらどうなったか、シミュレーションをしてみます。
モデルにしたのは、「三井住友・日本債券インデックス・ファンド」。
過去の基準価額(=投資信託の「時価」)を、証券会社のサイトで調べることができます(口座を開設していなくてもできます)。
三井住友・日本債券インデックス・ファンド(楽天証券のページ)
買い始めたのは、リーマンショック直前の2007年初めからとします。
本来なら毎月一定額を買ったときのシミュレーションをしたいところですが、それだと大変なので、1ヵ月20,000円×12ヵ月=1年分240,000円を、年の初めの営業日(1月4日、5日など)にまとめて買ったことにして計算しました。
シミュレーション結果。
その結果、こうなりました。
A. 基準価額 | B. 買付口数 | C. 合計口数 | D. 時価評価額 | E. 積立元本 | |
2007年初 | 10,339 | 232,131 | 232,131 | 240,000 | 240,000 |
2008年初 | 10,640 | 225,564 | 457,695 | 486,987 | 480,000 |
2009年初 | 10,949 | 219,198 | 676,893 | 741,130 | 720,000 |
2010年初 | 11,079 | 216,626 | 893,519 | 989,930 | 960,000 |
2011年初 | 11,320 | 212,014 | 1,105,533 | 1,251,463 | 1,200,000 |
2012年初 | 11,533 | 208,098 | 1,313,631 | 1,515,011 | 1,440,000 |
2013年初 | 11,713 | 204,901 | 1,518,532 | 1,778,657 | 1,680,000 |
2014年初 | 11,955 | 200,753 | 1,719,285 | 2,055,405 | 1,920,000 |
2015年初 | 12,433 | 193,035 | 1,912,319 | 2,377,587 | 2,160,000 |
2016年初 | 12,549 | 191,250 | 2,103,570 | 2,639,770 | 2,400,000 |
2017年初 | 12,873 | 186,437 | 2,290,007 | 2,947,925 | 2,640,000 |
A. 基準価額
B. 買付口数
今回は年初にまとめて240,000円分買ったという想定なので、2007年初めは
240,000÷(10,339円÷10,000口)=232,131口 買えた計算になります。
2008年初めは、基準価額がちょっと上がって10,640円だったので、買付口数がちょっと減って225,564口になっています。以下の年も同様です。
C. 合計口数
毎年初めに買った分の合計です。2008年初めには、
2007年分に買った分の232,131口+2008年に追加で買った分の225,564口=合計457,695口。
以下の年も同様です。
D. 時価評価額
そのときに持っている投資信託の時価がいくらかです。
2008年初めの時点では、457,695口持っています。そのときの基準価額が、1万口あたり10,640円。従って、
457,695口×(10,640÷10,000)=486,987円。
以下の年も同様です。
E. 積立元本
毎年240,000円を、投資信託を買わずに何もしていなかったときの総額です。
「D.時価評価額」と「E.積立元本」を比較すればわかるとおり、2017年初めに今年分の240,000円を買った時点まで、時価総額は積立元本を一回も下回ることがなく(指数がマイナスにならなかったので当然ですが)、2017年初の時点で
- 時価評価額:294万円
- 積立総額:264万円。
つまり、「ただ銀行に預金していたら264万円だったのが(利子はほとんど付かないでしょう)、この前提条件でこの投資信託を買っていたら約30万円増えて294万になっていたはず」ということです。
※ただし、注意点。※
国内債券の指数は過去10年以上マイナスになっていないと書きました。でも、今年(2017年)はマイナスになるかもしれません。
金利などが今後変化すると、国内債券を基準にする運用成績が悪化するかもしれません。過去のデータをみると、この「NOMURA-BPI総合」という指数は10~20年に1回ぐらいはマイナスになることがあったようです。今年(2017年)がその年になるかもしれません。
(『NOMURA-BPI 総合 インデックス』 |インデックス詳細の「年次リターン」を参照)
※長期的にみれば、値下がりしているときに買うのはいいことなのですが。
今回のシミュレーションは簡略化したものです。ちゃんと毎月積み立てた場合だと、もちろん計算も変わってきます。
投資において確実だと言えることはありませんし、過去に起きたことがそのまま将来にあてはまるわけでもありません。
情報はネットにも書籍などにもたくさんあります。冒頭に書いた知り合いの知り合いも、いろいろ調べて自分で納得できる方法を見つけてくれればいいなと思います。