先日は、不動産関連でこんな記事がありました。
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- 1300万円で買った別荘地が10万円(諸費用を含めるとマイナス)で売れて、ほっとしたという男性。
- 兄から相続したリゾートマンションを、約115万円の費用を払って買取業者に引き取ってもらったという男性。
といった話です。
不動産が「負動産」、粗大ごみに。
これから、不動産が粗大ごみになる時代がやってくるのではないかと思っています。
個人所有の不動産である土地・一戸建ての建物・マンションのうち、一戸建ての建物はまだマシかもしれません。
建物自体は、解体して登記を抹消すれば、モノとしても消滅しますし権利関係もなくなりますから。
特に問題なのは、土地です。(マンションのことはよくわかりません)
何が問題かというと。
捨てられない。
普通のモノは、要らなくなったら捨てられます。
ところが、土地(の所有権)は捨てられません。
自分の所有でなくするためには、誰かに所有権を譲らなければならない。
何が厄介かというと、このこと尽きます。不要になっても、ババ抜きのババのように、誰かに引き受けてもらわなければ手放せない。しかも下記の通り、持っているだけで金がかかる。
今までは、土地には価値があるのが当然でした。誰もがその価値を欲しがりました。
価値があって、欲しがる人がいるならいいでしょう。でも、価値がなくなったら?
土地が、単なる「ババ抜きのババ」になる日がいつか来ると、私は思います。
押しつけられる。
ババを誰かに引かせることができなければ、最後にババを押しつけられるのは、所有者が死んだ後の相続人、つまり配偶者や子ども、兄弟姉妹です。
そして、子孫が「押しつけられたババ」を捨てられず、誰にも引いてもらえず、同じように苦労することになります。
相続時に相続人全員が相続を放棄したら不動産は国庫に入るのかもしれませんが、
相続のときに「他の資産は相続するが土地だけ相続を放棄する」ことはできません。
金がかかる。
それでも、ただ所有権を持たされているだけなら害はないかもしれません。
でもそうはいきません。
持っているだけで金がかかるんです。固定資産税が。
処分できずに持っている不動産に対しても、固定資産税を払わなければなりません。
それに加えて、最低限の維持管理にもお金をかけなければなりません。管理責任がありますから。持っている不動産が事故や事件の原因、犯罪の温床になったらまずいですよね?
行政コスト。
所有者不明の土地を調査した結果、推定で九州ぐらいの面積がありそうだという調査結果があります。
相続に伴う所有権移転登記が行われなかった結果、権利関係が複雑になり、何がなんだかわからなくなってしまった。
- 公共事業のために土地を利用したくても所有者がわからない。
- 固定資産税が徴収できない。
調査や徴税に伴う行政コストがどんどん上がりそうです。
休眠預金を活用する方法が数年前から議論されていますが(こちらもなかなか進んでいない様子)、不動産の所有権についても、これから制度を変えて行かざるをえないのではないかと思います。
私のことを言えば、父が亡くなって実家(首都圏の住宅地)の相続が発生しましたが、70代後半の母1人では一軒家の管理が難しくなったこともあり、早々に売却。母は賃貸に転居しました。これは大正解だったと思っています。
私自身も、持ち家をある程度の時点で売却し、賃貸に移っておいた方が、子どもにとっては迷惑にならないかもと考えているところです。平成初期に買った土地の資産価値は4割程度に下がっていますが。
Photo by 写真素材 足成