梅雨の季節には、白や青の花がよく似合います。
代表的なのは、やはりアジサイ。
雑草としては非常にやっかいなドクダミの白い花も、私は結構好きです。
そして、ツユクサです。
幼稚園の頃の教材に載っていた写真を、50年も経った今でも憶えているような気がします。
鮮やかな青の花びら。ちょうちょのようなX字形をしたおしべ(葯)の黄色も、よくみると綺麗です。(この黄色のおしべは、花粉を出さない「仮おしべ」)。
昼過ぎにはしぼんでしまう、はかない花です。
変種のオオボウシバナは染め物の材料に。
ツユクサの花は大きさ2cm程度ですが、4cmにもなる大型の変種があるそうです。
それがオオボウシバナ。その花びらからとった青い色水は、友禅の下絵描きに使われるとか。なんとも優雅です。
でも生命力はたくましい。
そんな清楚で優雅で、はかないイメージもあるツユクサ。でも強靱な生命力をもつという一面もあります。私の印象では、身近な雑草の中でも特にたくましいものの一つ。
一体どれほどたくましいかというと。
草むしりをしたとき、むしった草をとりあえず山のように積んでおきますよね。その中にツユクサが混ざっていると、一体どうなるでしょうか。
他の草は、1日1日と時間が経つにつれて茶色く枯れていきます。むしられたわけですから当然です。
ところが、ツユクサは違います。
カラカラに干からび、あるいは茶色く腐っていく雑草の山の中で、ツユクサだけはいつまでも緑色のまま。しかもそれだけでなく、何日かするとむくむくと復活し、立ち上がってくるのです。その姿は、折り重なった死体を踏み台にして立ち上がってくるゾンビやアンデッドそのもの。
青色が涼しげな浴衣美女のようだと思っていたのに、実はゾンビ。
そんなヤツを退治するには、本気でかからなければなりません。
根も短く簡単に抜ける、草むしりの相手としては全く手応えのない、楽勝すぎる相手です。しかし、他の草のようにただ積んでおくだけではダメ。ツユクサとの戦いは、むしってからがむしろ本番です。
炎天下のコンクリートの上でカラカラに乾燥させて完全にトドメを刺すとか、あるいはすぐに袋詰めにしてゴミに出してしまうとか。徹底的にやっつける必要があります。
涼しげで清楚な花なのに、殺しても死なない。繁殖力も強い。面白い草です。ちなみに、葉っぱは食べられるとか。