昨日はこんなニュースが。
法定労働時間を超えて労働(残業)させる場合は、労使間で「36協定(サブロク協定)」と呼ばれる協定を締結する必要があります。
この協定は、「使用者と、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との間で締結することが必要」とされています(厚生労働省パンフレットより)。
今回の電通の場合、本来は正社員と非正規労働者を合計した全体の過半数を超える労働者が加盟した労働組合との間で締結されていなければならなかったのが、正社員数に対しては過半数であったのに対して、非正規労働者を含めると過半数になっていなかったという不備によるものです。
電通は改めて従業員代表を選出して法的要件を満たしたとしていますが、つまり非正規労働者を組合員になってもらったわけではないのでしょう。非正規なのに労働組合費を払わされて、自分にとってメリットが感じられないのならたまりません。
先日はこんなニュースもありましたし。
労働組合が会社の御用組合と化し、労働者の側に立たないばかりか、組合員に対して退職までちらつかせたという例です。
ところで、上記の厚生労働省パンフレットには、こんな記述もあります。
36協定を締結する従業員代表は、
「労使協定の締結等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続きにより 選出された者であること。」
電通の従業員代表は、このような方法で選出されたのでしょうか。
労働組合の推定組織率は、17.3%とのこと(2016年)。
参考:
この組織率の計算が企業ベースであるなら、82.7%の企業には労働組合がないことになります(労働者数ベースなら、82.7%の労働者が組合員でない)。そういった企業では、「挙手等の方法による手続により」従業員代表が選ばれ……ているんでしょうか?
中小企業で、「ちょっとお前、悪いけどこの書類に署名して? 役所に提出しなきゃいけないんだよね」程度の話で、36協定に署名させられていることはないのでしょうか。
残業時間の長さよりも先に、
- 36協定が正しい方法で締結され、
- 協定内容が守られ、
- 時間外労働に対して正当に賃金が支払われる
ようであってほしいと思います。