今朝はこんな記事が。
2017年3月に,東京都の私立幼稚園でカレーが原因のウェルシュ菌による食中毒が起きたとか。
ウェルシュ菌の食中毒は春や秋も要注意。
食中毒といえば,真っ先に思い浮かぶのは梅雨時です。
真夏を過ぎた初秋も,涼しくなってきて油断するので要注意と聞いたことがあります。
ところが,ウェルシュ菌の食中毒は春や秋にも目立つとか。
ウェルシュ菌食中毒の特徴。
加熱でも死なない菌がいる。
ウェルシュ菌の全部ではないようですが,耐熱性の高い「芽胞(胞子)」を形成する種類もあるようです。芽胞は,通常の調理による加熱では死にません。むしろ,加熱で他の菌が死滅し競争相手がいなくなるので,のびのびと増殖する可能性があります。55℃を下回ると増殖を始め,40℃台の温度で急速に増殖するとか。
※最近話題のボツリヌス菌も芽胞を形成するので,通常の調理の加熱では死にません。
嫌気性。
ウェルシュ菌は酸素を嫌います。ですから,粘度のあるカレーのような食品は空気に触れにくく,増殖に好都合。
※ボツリヌス菌も嫌気性です。
菌を摂取することにより発症すると考えられる。
食中毒には,
があります。
ウェルシュ菌食中毒は,感染型と考えられています(毒素は,調理の加熱で活性を失います)。
ウェルシュ菌食中毒防止のために。
加熱後はちゃんと冷まして冷蔵。
特に大鍋で作った場合は冷めませんから,小分けして冷蔵するなどしっかりした予防策が必要ではないかと思います。粘度が高いカレーは冷めにくいので要注意です。
東京の私立幼稚園での食中毒も,大鍋で作ったカレーを一晩置いておいたとか。
再加熱にも要注意。
「残り物も煮返せば大丈夫」みたいな考えが一部にあるのではないかと思いますが,これはいくつかの点で要注意です。
いったん増えたものは大して減らないかも?
ちゃんと計算したわけではありませんが,例えばウェルシュ菌は約10分間ごとに分裂して倍々に増えていきます(出典:ウェルシュ菌 - Wikipedia)。一晩中増えた分が翌日のちょっとの加熱でどの程度減るのか?
やはり,「増やさない」が予防の基本の1つでしょう(ほかに「菌をつけない」「やっつける」。)
他の菌の毒素には,分解しないものもある。
ウェルシュ菌の毒素は加熱で分解されます。でも,他の菌の毒素には,加熱しても分解されず食中毒の原因になるものがあります。ですから,「再加熱すれば絶対OK」とは言えません。
※セレウス菌の毒素は耐熱性が非常に高く,黄色ブドウ球菌の毒素も100℃30分加熱しても失活しないらしい。
再加熱で,また食品の温度が上がる。
再加熱して食べきるのならまだしも,それがまた残ったら? 時間差で食べる家族のために鍋ごと何回も温め直していたら? せっかく冷めていたのにまたちょうどいい温度になり,細菌が増殖する時間が長くなります。
現代は電子レンジという文明の利器がありますから,家族の食事の時間がまちまちな場合など,再加熱は鍋ごとやるのではなく食べる分だけ電子レンジで行えばいいのではないでしょうか。
ウチでは,残ったカレーは鍋ごと冷蔵庫に入れちゃってます。
おたまを入れたままでも余裕。ドアも閉まります。
※再現画像。ところで,冷蔵庫の中がスカスカ過ぎでしょうか……
ところで,鍋はこんな感じのもの。結婚前から使っている25年モノです。