NHK Eテレ「オイコノミア」、面白いです。
今週(2016年11月30日)の放送は「結婚の経済学」でした。ゲストはサッカー解説者の武田修宏さん(49歳独身)。
以下,番組の内容です。
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なぜ結婚したくないのか?
番組は,六本木の会員制婚活バーで収録。
2008年開店、会員は4万人以上。
会員の条件は「家事と仕事を両立すること」だそうです。
2035年の生涯未婚率推計は、男性29%、女性19%。
かつて「35歳までに結婚したい」と言っていた又吉直樹さんがまだ結婚していないのはなぜか?
- 独身の方が楽しい
- 結婚したら自分の時間がなくなる ……
→ それは,「今の方がいい」と思い込む「プロジェクション・バイアス」。
プロジェクション・バイアス:
今現在の状況を過度に未来に投影してしまい、正しく予測することができないという心の偏り。
例:
- お腹がすいているか満腹かで、夕食のための買い物の量が影響を受ける。
- 暑い日にプールやオープンカーの売上が伸びるというアメリカの研究も。
今の状況が将来も続くと思ってしまうのが、プロジェクション・バイアス。
決断できないのはなぜか?
それでは、芸能界で出会いも多いはずなのに結婚できないのはなぜか?
出会いが多いと余計結婚が遅れることになる。
=「選択肢が多いと選べなくなる」
番組中で実験:
10種類のカレー(順番・種類は知らされていない)が順番に出されるので、1口ずつ味見をし、「ベストのカレー」を選んでもらう。ただし条件:
- 「結婚相手を選ぶ」モデルとしてのカレーなので、「選んだら死ぬまでそのカレーしか食べられなくなる」つもりで選ぶ。
- 全部食べてから決めることはできない。そのカレーを食べた直後にのみ選択できる。遡って後から「やっぱりさっきのがよかった」と選ぶことはできない。
実験がはじまり,カレーを順番に出されて食べる2人。
バターチキンカレー、グリーンカレー、さくらんぼのカレー、ビーフカレー、納豆カレー、マリンブルーカレー、ほうれん草とチーズのカレー、豆のカレー、レモンクリームチキンカレー、イカスミカレー。
まだ次があるかも、まだ次があるかも………結局最後まで選べず、不本意な「イカスミカレー」を選ぶことになった2人。
「ビーフカレーがよかったのに!」と言っても……後の祭?
正しい意思決定の仕方(秘書問題):
たとえば10人を選考する場合、3.7人を見送ったときベストの選択ができることが、確率で求められている(最初の3人を見送り、それ以後で一番と思った人をそのときに選ぶ)。
つまり,100人から選ぶなら、37人目までは自動的にパス。その後に現れた人に決める,という方法。
「何人の中から選ぶか、全体で何人に出会うかわからないが?」
→ いままで何人に出会ったか。その数といま何歳かから考え、今後何人に出会うかを予想すればいい。
では実際の結婚生活は?
「秘密結社主夫の友」の杉山錠士さんの例。
放送作家の仕事を午前と夜にしつつ、掃除・洗濯・食事の用意などを担当。
秘密結社主夫の友では、主夫を「主体的に家事・育児を行う夫」と定義。
- やってみると家事は力仕事も多く、男性向きの面もある。
- もともとこういう生活は全然考えていなかったが、妻との価値観の違い、何が「普通」かの違いを認めるようになった。お互いが得意なことをやっている。
主婦の友のメンバーと又吉さんの会話より。
- 「バリバリ働く女性の一方で男性が我慢する」のでは男女が逆転するだけ。そうではなく、2人の自己実現のための話し合いが大切。
- ベビーブーム世代の「自分たちが働き、専業主婦が家庭を支えて日本をよくしてきた」という自負、そういう価値観が今も根強く残っている。
- 女性側もそう思い込んでいる人がいる。
- そういうモデルしか知らない。
大竹先生より。
「選好の内生性」=人の好みが経験や環境によって形成されること。
社会構造が変わっているのに以前と同じ父親・母親の役割を求めてしまう、求められてしまう現状がある。
時代に合った価値基準を広めていく、「主夫の友」のような試みは大切。
……という内容でした。
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思わぬところで「主夫の友」の皆さんが登場してびっくり。個人的に面識のある方の姿も。
今の30代・40代のみなさんは団塊ジュニア世代なんだなあと改めて思ったり。
私も完全に高度成長期の会社員・専業主婦家庭で育ちましたが、親も、子である私も、世代としてはそれぞれもう少し上です。
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