毎週水曜日22:00~放送のNHK Eテレ「オイコノミア」、2016年11月16日の放送は「賃金の経済学」でした。ゲストは東貴博さん。浅草でもんじゃ焼き屋を経営し、若手芸人をバイトで雇っているとか。www4.nhk.or.jp
賃金はどうやって決まるか?
労働者の希望と経営者の希望が一致した賃金が「均衡価格」。
- 時給が高いと労働者の応募が多い--経営者は雇えない
- 時給が下がると労働者の応募が減る--経営者側の求人が増える
といった、労働の需要と供給、つまり市場によって決まる。
あえて相場より高い賃金を出すことも。
それが「効率賃金」。
生産性を上げるためにあえて高い賃金設定をすること。
- 従業員のやる気を引き出す。
- 優秀な労働者を集められる。
- 離職率を下げられる。
- 新規採用の必要が減るので教育費を下げられる。
といったメリットの可能性があるが、労働者・経営者双方がそれに見合った生産性向上に努める必要も。
「雇い主からのプレゼント」効果。
それが「贈与交換」と呼ばれるもの。
ドイツでの実験。データ入力のアルバイトをしてもらった人の意欲が一番高まった、賃金以外の報酬はどれか?
- 現金1200円
- 値段のわからない水筒
- 1200円の値札のついた水筒
- 現金1200円と、値段のわからない水筒をどちらか選べる
- 1000円紙幣を人形の形に折って封筒にし、中に200円
(実際の実験はユーロで行った)
結果は、一番意欲が高まったのが「5」(ちょっと手間をかけた「折り紙」)、最も高まらなかったのが「1」(現金のみ)
→つまり、贈与交換の効果を生じさせるには「プレゼント」だと意識させる工夫が重要
最低賃金を上げると貧困対策になるか?
ならないと考えている経済学者が多い。
→最低賃金上昇によって失業者が増えると考えられるから。
理由:
カード・クルーガーの論文(最低賃金を上げたら実際には雇用が増えたと報告)もあり、最低賃金を上げたとき雇用が増えるのか減るのかは決着がついていない。
最低賃金が上がることでメリットがあるのは、中間層だと言われている。これは、最低賃金で働いているうち貧困層が実際には15%程度に過ぎないため。50%は、世帯の中に収入の担い手が他にいる非世帯主のパート・アルバイトだから。
貧困対策としては多面的支援が必要。
Photo by 写真素材 足成
次回は「ライブのチケットの経済学」だそうです。
いろいろ発見がある番組ですよ!
あっ、この回の再放送は今晩だ! 放送を見たい人はぜひ。
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