以前「小規模企業共済」について書きました。
それとともに話題になることもある制度に,「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)」があります。私も最近まで知りませんでした。
中小機構:倒産防止共済: 経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)
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経営セーフティ共済とは?
中小企業が,取引先事業者の倒産の影響を受けて連鎖倒産や経営難に陥ることを防止するための共済制度です。1ヵ月20万円を上限に総額800万円まで積み立てることができ,取引先が倒産した場合に,積立額の10倍まで無利子で貸付を受けることができます。任意解約も可能で,40ヵ月以上積み立てていれば,積み立てた額がまるまる帰ってきます。
経営セーフティ共済の特徴。
- 取引先倒産時に積立額の10倍まで無利子で貸付を受けられる。
- 掛け金は全額損金(経費)として収入から差し引くことができる(→節税になる)。
小規模企業共済と経営セーフティ共済の違い。
目的が違う。
小規模企業共済:中小企業経営者,個人事業主の退職金の準備。
経営セーフティ共済:取引先が倒産したときの貸付制度。
税制面の扱いも違う。
掛け金:
お金を受け取ったとき:
解約時の払戻額も違う。
- 小規模企業共済:20年積み立てないと元本割れになる。
- 経営セーフティ共済:40ヵ月積み立てれば元本が返ってくる。
経営セーフティ共済が役立つ場面。
ネットでちょこちょこ調べたところでは,経営セーフティ共済は,取引先倒産のほか,
節税メリットを生かす用途として,次のような場面がありそうです。
売上の平準化
売上が多いときに掛け金を増やして課税される売上を減らし,赤字のときに解約して収入を補填する。(赤字分があるので節税になる)
経営者や役員の退職金準備
売上が多いときに積み立てておき,退職金などまとまった支出があるときに解釈して充当する。(法人としては節税になる)
ただ,個人事業やフリーランスの場合は,収入がゼロになる可能性はあっても赤字にはなりにくいでしょうし,法人ではないので「役員に退職金を支払う」こともない。
ですから,個人事業主の場合,節税を目的にしても単に「税の繰り延べ」にしかならないように思います(今払うべき税金を先延ばしするだけ)。
すごく儲かって税率が20%とか30%とか高いときに積み立てておき,売上が減って税率が下がったころに解約して低い税率で税金を払うということも考えられますが,せいぜいその程度でしょうか。
必要経費に算入できるのならバカ高い国民健康保険料を減らすことができる可能性があるので最初はすごく期待したんですが,ほとんどメリットなさそうです…。
というわけで,今のところ私は加入しないつもりです。