この記事を読んで思い出したことがありました。
実は私、結婚前に精子数を検査したことがあります。
男性不妊の可能性がないかどうか、確認しておきたかったんですよ。
思い当たる理由が何かあったのか? 以下は私の経験です。
※この記事は、私(医療の専門家ではありません)の個人的経験・考えですのでご注意ください。
男の赤ちゃんの場合、生後すぐの性別判別時や乳児検診のときに、陰嚢の状態を確認されると思います。「睾丸がちゃんと陰嚢の中にあるかどうか」です。
睾丸は、お母さんのお腹の中で胎児の体ができていくとき胎児のお腹の中に作られ、生まれる前に、それが陰嚢まで降りてきます。ですから、生まれたときには陰嚢の中にある状態が正常です。
それが陰嚢の中にない、つまりまだお腹の中にあると「停留睾丸」ということになり、非常に注意が必要です。というのは、精巣がんの発症率が高くなり、男性不妊になる可能性もあるからです。
ここまでは結構知られていると思うんですが、意外に知られていないと思うのが、移動性精巣(移動性睾丸)。
これは、睾丸がしょっちゅう自然にお腹の中に入ってしまい、陰嚢との間でかなり自由に行き来してしまう状態のことです。いつもお腹に入ったままというわけではないので、お子さんがこれに該当するのかどうか、お母さんやお父さんにはなかなかわからないかもしれません。
結論から言うと、私は生まれてこのかた、ずっとこの状態です。
でも、自分が移動性精巣という状態だとは、大学生になるまで自分でわかっていませんでした。
睾丸が出たり入ったりするのが、私にとっては日常茶飯事、「そういうもの」、ごく普通のことだったからです。まさか友達との間で「お前の金玉、お腹の中に入ったり出たりする?」なんて話しませんよね?
ただ、何歳ごろからだったかよく憶えていませんが、たぶん小学校高学年の頃から、「脚の付け根」がときどき痛くなることがあって困っていました。脚の付け根、つまり鼠径部の、引き攣れるような痛みです。
痛くなるのはだいたい冬。痛みが強いと腰・股関節を完全に伸ばすことができなくなり、腰を曲げないと歩けないような状態でした。
当時は子どもでしたから、なぜ痛いのか理由がわかりません。母に訴えても、関節が痛いのだと思われ「成長痛じゃない?」なんて言われていました。いつも、しばらく経つとおさまってしまいましたしね。
そのうち、そんな痛みが起きやすい状況や痛みの様子、対処法が自分でわかってきました。
- 痛いのは、関節じゃなくて鼠径部、あるいは睾丸のあたり。鼠径部だけでなく、睾丸も触ると痛かった。
- 寒いときに股間を圧迫していると起きやすい。長時間座っていたり、自転車に乗っていたりです。股間が窮屈なジーンズなども原因になりやすいので、特に冬はできれば避ける。
- 痛みが出たときは、冷やさないようにする(少し温める)。これは、寒くて陰嚢がちぢこまっている状態がよくなさそうだとの推測から。
- 痛みが出るのは私の場合いつも右側でしたが、そのとき睾丸にどう触れるかや、睾丸の位置で痛みが変わる。痛い側の睾丸をそっとお腹側に持ち上げるようにすると痛みがやわらぐ。
そんな経験則から、「これは睾丸が原因だろう」と思うようになったのだと思います。
でも、医学書に書いてある停留睾丸ではない。睾丸は普段は降りていますから。
一体なぜなのか、どういう状態なのか、わかりませんでした。
移動性精巣という言葉を聞いたのは、確か、大学生になって自分で大学の保健センターに相談に行ったときだと思います。
いまネットでざっと検索してみても、移動性精巣(睾丸)に関する記述は、停留睾丸に比べるとずっと少ないようですね。
きっと、停留睾丸に比べると重大性が低いからだと思います。
いまネットで調べたところでは、思春期ぐらいに大体起きなくなると書かれているページもありました。 でも、私の場合は、上記のような痛みが、50歳を過ぎた今になってもときどき出ています。
しかし、考えてみると、移動性精巣で痛みが出るって結構怖いことかもしれません。
私は医師ではないので正確にはわかりませんが、痛みが出るたび精巣捻転になりかけている可能性があるからです。
精巣捻転とは、精巣をつり上げている精索(要するに「スジ)、血管、精管などの束がねじれてしまい、血流が止まってしまう状態です。激痛で、そのままの状態が続くと精巣が壊死してしまうらしい!
私の場合はそれほど激痛ではないので、本当のところどうなのかはわかりません。
でも、睾丸が出たり入ったりしているときに、何かの拍子でどこかがねじれたり、ひっかかって圧迫されてしまう、なんてことはありそうです。
痛いときに睾丸をお腹側にそっと持ち上げるようにすると痛みがやわらいだというのは、もしかしたら、精巣捻転になりかかってねじれていた部分の緊張が、そうすることによってゆるむからかもしれません。
とりあえず、今に至るまで睾丸が2つとも残っていてよかったです。
一方、停留睾丸が問題になる理由の2つめに挙げた男性不妊の可能性ですが、これは精巣が体内にとどまっていると精巣の温度が高くなり、精子が作られにくくなるからです。
ということは、移動性精巣の場合も、お腹に入っている時間が長いと同じように男性不妊の可能性があるのでは?自分はどうだろう?と、私も心配になったんですね。
それで、総合病院の泌尿器科で精子の数を調べてもらったわけです。
精子数はよく1ccあたり1億なんて言いますが、私の結果は4000万。普通より少ない値でした。
「数だけじゃわかりませんからね~実際に子どもができなかったらそのときですね~」なんて言われて、そのときは終了でした。
結局、子どもは順調に3人できたので、問題ありませんでした。
睾丸にはこんな異常の可能性もあるよ、というお話です。
可能性は低いと思いますが、もしお子さんが私のような症状、つまり
- 脚の付け根や鼠径部が痛くなることがあり、そのときに睾丸に触れると、さわり方によって痛がり方が違う。
- 普段から睾丸が陰嚢とお腹の中を行き来している。
- 痛がるのは寒い時期。
- 痛みは数十分から数時間でおさまる。
といった症状を訴えたら、移動性精巣や精巣捻転を疑ってほしいというのが、経験者からのお願いです。
移動性精巣に対して手術で睾丸を固定する(お腹の中に戻らないようにする)かどうかは判断がいろいろのようですが、上記のような痛みがたびたび出るのなら、経験者である私としては、固定した方がいいんじゃないかと思いますね。
それと。
もしかつての私のように、何でかわからないけど同じような痛みがある、検索でこのページに来たけれども読んでみたら結構自分にあてはまる、というような若い男性がいたら、泌尿器科に相談してみてください。なかなか他人には相談しにくいことですが、でも私と同じようにときどき痛みが出るのなら、病院に行った方がいいですよ。