ネットでもよく目にするこの言葉、「生存バイアス」。
生き残った人の話しか聞けない、退場した人の話は聞けないってことですね。
死人に口なし。
気をつけなきゃいけません。
卒業した大学から、学生の進路研究の課題のひとつとして、今の仕事についてメールで話を聞かせてほしいという依頼がありました。
もちろん喜んで協力したのですが、そのとき、後輩である現役の大学生に最初に言っておきたかったのがこのことです。
そもそも、卒業生として出身大学の後輩に話をしようと思う時点で、それまでの人生である程度成功してきた(あるいは少なくとも、何も大きな失敗をしてこなかった)人間に絞られているわけです。
しかし実際には、何かの理由で表舞台から消えてしまった人、大手を振って母校の後輩に体験談を話すことに気を引けてしまう人もいるはず。そういう人から話を聞くことはなかなかできません。
もちろん、健康を害して早世してしまった人もいるわけです(私の友人も、何人も亡くなっています)。
だから、「これは成功例の1つだ」という、ある種のフィルタがかかった話として受け取って欲しいと伝えました。
石橋を叩いて割ってしまうようなことを繰り返すばかりでは前に進むことはできないけれど、人の話をただ鵜呑みにするのではなく、全て自分の責任と判断のもとで行動してほしい、と。
同じようなことは、企業のOB訪問などについても言えると思います(私はOBを訪問したこともされたこともないのでよくわかりませんが)。
「努力すれば夢はかなう」
今年はオリンピックがありましたから,この言葉はよく耳にするでしょう。
でもこれ,言い換えた方がいいんじゃないかと思っています。
「努力しなければ夢はかなわない」と。
必要条件と十分条件がごっちゃになっています。
「努力しなければ夢はかなわないけれど,努力しても夢がかなうかどうかはわからない」
のが本当のところではないでしょうか。