ツイッターで話題になっていたマンガが書籍化されたというので、本屋に。
目当ては1冊でしたが、なぜか3冊になっていました。
最近「しみじみ」が足りないと感じていたので、勢いが付いてしまいました。
そのうちの1冊が、これです。
以前気になっていたんですが、ここで改めて出会ったのも何かの縁。
『今日の漫画 史群アル仙作品集』(史群アル仙 著、ナナロク社、1200円+税)。2014年初版。
作者は史群アル仙さん(@shimure_arusen)。(~先生と書くべきかな)
実は、すでに続編の『今日の漫画2』が出版されていて隣に並んでいたんですが、「まず買うならやはり初回作だろう」と思ったんですよね。音楽でも何でも、最初の作品に作者の要素がかなりの部分まで表れるのではないかと思うので。
というわけで、「2」でない方を買いました。
現代には珍しい、レトロな、昭和の絵柄。
キャラクターやタッチだけでなく、登場人物の服装や背景まで、昭和の、それもかなり昔の風景です。
「今の若い人たち」にはかえって新鮮に見えるんでしょうか? 私ぐらいの年代には、妙になつかしい。
今、ツイッターには、社会風刺的な1枚絵や数コマ・数ページのマンガを上げている方が結構いらっしゃいますが、史群アル仙さんのマンガはそういうものとは違う、何というか「内側から絞り出されてきた」苦悩ばかりを感じます。
自分の「外側」と「内側」の齟齬や葛藤ではなく、自分自身の内側にあってどこにも行き場のない思い。
左側ページのマンガと見開きになっている右側のページは、「今日の絵」という1枚絵になっています。
ツイッターでは白地に黒だったと思いますが、白黒反転になっています。マンガとはタッチが違うエロチックな絵ですが、これもうねるような心情を感じさせるもの。
左側1ページのコマ割りされたマンガ、そして右側ページの「今日の絵」のそれぞれから染み出てくるさまざまな思いに、読んでいるこちらも考えさせられます。
著者はマンガ以外にパステル画も書いていらっしゃるんですが(作者のツイッターに画像があります)、好きなモチーフであるフクロウの絵も鬼気迫るもので、なぜか引き込まれます。
一方、本書の最後に収載されている、手塚治虫の「ブラック・ジャック」のパロディは、シンプルにすごく面白い。フクロウの姿をしたブラック・ジャック「ウラック・ジャック」が、「確かにブラック・ジャックはこういうことするよなあ」ということをやってくれます。
※ところで、黒い装丁の漫画は売れないというジンクス? があるようですが、どうだったんでしょうか……。
編集者のひとで「本の表紙で黒は禁忌」というひとがたまにいるけど、あれは根拠があって言われているんだろうかと前々から思っています。
— 伊藤 剛 (@GoITO) 2018年3月22日
統計データがあると聞いています。
— はぁとふる売国奴 LINE@はじめました! (@keiichisennsei) 2018年3月23日
個人的にも、同人誌で黒系の表紙は部数が伸びません。
もちろん表紙以外の要因も絡んでいるはずですけれど・・・ https://t.co/DNYFGWRk9K