昨日はこんな記事を書きました。
「コリオリの力」を思い出した話です。
それでさらに思い出したのは、地元の科学館にある展示物でした。
県庁所在地クラスの大きな自治体には必ずあると思う、○○科学館。
立派な建物とか、子供の興味を引くよう工夫された展示とか。かなりの費用をかけて作られています。
そんな中に、コリオリの力を示す模型もありました。
直径2mか3mぐらいある円盤が水平に設置され、ぐるぐる回転しています。
円盤の円周近くには、ゴルフ場のホールのような、ボールが落ちる穴が設けられています。
観覧者は、その円盤のふちから、円の中心を超えた反対側の円周上にある穴をねらってボールを転がします。
するとどうなるか?
ボールが転がっている間に、反対側にあった穴は円盤の回転により位置がずれてしまい、ねらった穴には入りません。うまくすると、ねらった穴のとなりの穴に入るかも。
ボールは直線状に動いているのに、円周上に立っていると仮定してボールの動きを見ると、ボールの軌道が何かの力を受けて曲がっているように見える。
昨日の、「バイカル湖から東京に向かって吹いた風をバイカル湖から見る」のと同じ状況です。
そんな現象を感覚的に理解できるように作られた、大きな模型です。
壮大なおもちゃ。
でも、小さい子供にとっては、そんな展示物も単なるおもちゃでしかありません。
コリオリの力を学校で習うのは高校の物理。
高校生とまでいかなくても、小学校高学年以上がちゃんと説明されれば、感覚的に理解できるかもしれません。
でも、「科学館」みたいな施設に来る子供は、親に連れられた幼児・小学校低学年ぐらいが一番多いのでは? そのような年代だと、せっかくの展示もただのおもちゃになってしまいそう。
小学校高学年が校外学習などで来ることもあるかもしれませんが、自由に見学するだけで、「わかったことをまとめましょう」なんていうプリントに簡単にまとめる程度ではないでしょうか。
内容が授業と関連をもち本当の意味で理解できるようになるのは中学生・高校生だと思いますが、もうその年代になると、そういった科学館に足を踏み入れるのは、せいぜい科学部の生徒ぐらいでしょう。
興味を持たせるのは大切だけれど。
小さいころから科学に興味を持たせることは必要でしょう。でもこれだけお金をかけて作られた施設が、はたしてそれにどの程度貢献しているのか。いつも残念に思います。
サイエンスショーや、各種イベントで行われる実験体験なども同様です。
「おもしろい」で終わってしまうのが、どうにももったいない。
かといって、全ての子供に、理解度に合わせて丁寧に説明したり実演したり、疑問に答えたり、興味に合わせて掘り下げて説明したりするのは、現実的に無理。
子供を全て科学者にする必要はありませんが、科学的リテラシーが今後ますます必要になるのは確かです。
こういうことを考えるとなんだかモヤモヤしますね。子供に教えたいことは山ほどあります。
ウチの子を近所の科学館に連れて行ったのはもう何年前のことだろうか。
高校生にはこういうビジュアルな参考書もいいのではと思います。