今朝はこんなニュースが。
2020年東京オリンピック公式マスコットの3つの案が発表されたとのこと。
「ア」「イ」「ウ」の3案から小学生の投票で決まります。
うーん、特に「ウ」はどこかで見たような……ジバニャンとポンタかな?
それはともかく。
投票は、登録した学校(主に小学校)の各クラスに1票が割り当てられ、クラス内の話し合いでクラスとしてどこに投票するかを決めるそうです。
組織委員会では、学校で使う指導案や参考資料なども用意されている様子。
12月7日(昨日)現在「マスコット投票宣言」参加自治体は55しかありませんが、これに参加している自治体かどうかにかかわらず、対象の学校は所定の手続で投票できるらしい。
東京五輪・パラマスコット、候補3択 小学生投票で決定:朝日新聞デジタル
によれば、7日現在で4155校が参加登録を済ませたとか。
有権者数(全対象学校のクラス数)に対する投票率(登録して投票したクラス数)はどの程度になるんでしょうね。
一票の格差は。
ついでに、一票の格差についての授業なども行うといいんじゃないでしょうか。
35人のクラスも、20人のクラスも、5人のクラスも、人数が少ないため複数学年が1つのクラスになっている複式学級でも(?)投票できるのは1クラス1票。個人の選択が投票結果にどのように反映されるのか? いい機会だと思いますね。ある意味アメリカ大統領選挙のような「勝者総取り方式」というか、個人の選択と選挙結果に差が出るようなこともあるでしょう。
アロウの不可能性定理。
直接は関係ありませんが、選挙というといつも思い出します。
アロウの不可能性定理。完全に民主的な社会的決定は不可能だという、数学的な証明です。
個人の2つの条件、
- 個人は、どんな選択肢に対しても順序をつけることができる。(例:AよりBが好き)(選好の連結律)
- AよりBが好き、BよりCが好きならば、AよりCが好きという順序の関係が成り立つ。(選好の推移律)
と、社会の4つの条件、
- 個人の選択は自由で、いかなる制約も受けない。
- 全ての個人が同じ選択をしたら(つまり全員一致なら)、それを社会的決定としなければならない。
- 選好順序は他の選択肢の影響を受けない。(AよりBが好きなら、そこにZが加わってもAよりBが好きなことは変わらない)
- 特定個人の選好順序が社会的決定となることはない(非独裁制)
の全てが同時に成立することはありえない、という定理です。どれもそんなに無理のない条件に思えますが、これらが同時に成り立たないなんてことがあるんでしょうか? どうやらそうらしいです。
他にも、投票方式によって違う候補者が選ばれてしまう、コンドルセのパラドックスやボルダのパラドックスなど、選挙を巡っては興味深い話がいろいろあります。
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理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 (講談社現代新書)
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