今日はこんなニュースが。
報道によって内容に違いがあるようですが、
- 給与所得控除を減らす。(「高所得層で減らす」という報道と「一律で減らす」という報道あり)
- その分、基礎控除を増やす。
のが大きな内容のようです。
こちらは朝日新聞。(全文を読むには登録が必要)
ただ、この朝日の書き方にはちょっと問題があります。
「所得税の仕組みを見直す背景には、働き方の多様化がある。デザイナーやシステムエンジニアなど、会社に所属せず、個人で仕事を請け負う人が増え、会社員と同じように働いているのに給与所得控除が受けられない人が増えたからだ。」(上記記事より引用)
「個人で仕事を請け負う……のに給与所得控除が受けられない」
この書き方じゃ、会社員の皆さんは怒りますよ。
個人請負・個人での自営業・フリーランス・個人事業主(呼び名は違いますが立場は同じ)は、もともと、仕事にかかった経費の全額を必要経費として収入から差し引くことができる。なので、必要経費を差し引いた後でさらに「給与所得控除」みたいなものまであるのなら、2重に控除されることになりますから。
会社員はそれができないから、必要経費に代わる「みなし経費」として給与所得控除があるわけです。なので、「個人請負だと給与所得控除が受けられない」という言い方は意味不明。そもそも、個人事業の売上は給与ではないし。
※ただし、個人事業主でも、スーツ代などは必要経費として認められないというのが一般的考え方です。そういう点で、給与所得控除の方が個人事業主の必要経費より優遇されている面はあると思いますけどね。通勤手当なども、一定額までは非課税です。
それと。
「基礎控除しか受けられない納税者は減税になる。」(上記朝日新聞の記事より引用)
という箇所も気になります。
「減税になる」には、それまでは税金を払っていなければなりません。
基礎控除が38万円の現状ですでに納税額がない(ゼロになってしまう)場合、控除をどれだけ増やしてもそれ以上は減税になりようがないんです。ゼロから減らすことはできませんから。
ふるさと納税でも、iDeCoでも、住宅ローン減税でも、注意しないと。
ふるさと納税による(みかけ上の)節税効果も、もともと住民税を払っていなければ意味がありません。無収入の人がふるさと納税をしても、その額をただ支払っただけのことにしかなりません。
iDeCoも、掛け金分が所得から差し引かれ所得税が安くなりますが、もともと納税額がなければ、掛け金を拠出しても、拠出による節税効果はありません。
夫婦共有のマイホームの住宅ローンを夫婦で払っているから、夫婦の両方で住宅ローン控除を使ってそれぞれの税金を減らそうとしたら、奥さんの納税額がもともと少なくてローン控除をフルに使えなかった、というような例も聞いたことがあります。もしかしたら私自身がやったことかもしれません(昔のことなので忘れました)。
税金の仕組みは複雑だけれど。
税金の仕組みは複雑で、しかも誰もちゃんと教えてはくれません。
でも、収入を増やす・支出を減らす(節約する)・投資するのと同じように、節税も資産を増やす重要な方法の1つであるはず。
自分で情報収集するしかありません。
知っているのと知らないのでは、30年後・40年後に大きな違いになりそうです。