10年前からインデックス投資信託を積み立てていたらどうなっていたか、シミュレーションをしてみたシリーズ。
前回は、国内債券型インデックス投資信託でした。
今回は国内株式型について考えてみます。
国内株式市場の指数(インデックス)。
日本国内の株式市場の状況を表す代表的指数には、日経平均株価とTOPIX(東証株価指数)の2つがあります。
どちらも、テレビのニュースなどでもよく報道される身近な指数です。
日経平均株価の過去の変化は、下の表の通り。
2005年 | 2006年 | 2007年 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | |
日経平均株価 | 40.2% | 6.9% | -11.1% | -42.1% | 19.0% | -3.0% | -17.3% | 22.9% | 56.7% | 7.1% | 9.1% | 0.4% |
(参考:『日経平均株価 インデックス』 |インデックス詳細の年次データ)
リーマンショックのあった2008年と、東日本大震災のあった2011年に大きく下落しています。2013年の急上昇は、2012年末から始まったアベノミクスの効果。
日経平均株価に連動するインデックス投資信託を毎年買っていたらどうなっていたか。
では、その国内株式型インデックス投資信託を毎年買っていたらどうなったか、シミュレーションをしてみます。
今回は、ニッセイ日経225インデックスファンドをモデルにしました。
過去の基準価額(=投資信託の「時価」)は証券会社のサイトで調べることができます(口座を開設していなくてもできます)。
ニッセイ日経225インデックスファンド(楽天証券のページ)
買い始めたのは、リーマンショック直前の2007年初めからとします。
本来なら毎月一定額を買ったときのシミュレーションをしたいところですが、それだと大変なので、1ヵ月20,000円×12ヵ月=1年分240,000円を、年の初めの営業日(1月4日、5日など)にまとめて買ったことにして計算しました。
シミュレーション結果。
その結果、こうなりました。
A. 基準価額 | B. 買付口数 | C. 合計口数 | D. 時価評価額 | E. 積立元本 | |
2007年初 | 16310 | 147149 | 147149 | 240,000 | 240,000 |
2008年初 | 13945 | 172105 | 319254 | 445,199 | 480,000 |
2009年初 | 8717 | 275324 | 594578 | 518,293 | 720,000 |
2010年初 | 10411 | 230525 | 825103 | 859,015 | 960,000 |
2011年初 | 10308 | 232829 | 1057932 | 1,090,516 | 1,200,000 |
2012年初 | 8631 | 278067 | 1335999 | 1,153,101 | 1,440,000 |
2013年初 | 10979 | 218599 | 1554599 | 1,706,794 | 1,680,000 |
2014年初 | 16550 | 145015 | 1699614 | 2,812,861 | 1,920,000 |
2015年初 | 18368 | 130662 | 1830276 | 3,361,850 | 2,160,000 |
2016年初 | 19722 | 121692 | 1951967 | 3,849,670 | 2,400,000 |
2017年初 | 21297 | 112692 | 2064659 | 4,397,105 | 2,640,000 |
前回と重複しますが、少し説明を。
A. 基準価額
B. 買付口数
今回は年初にまとめて240,000円分買ったという想定なので、2007年初めは
240,000÷(16,310円÷10,000口)=147,149口 買えた計算になります。
2008年初めは、基準価額がちょっと下がって13,945円だったので、買付口数がちょっと増えて172,105口になっています。以下の年も同様です。
C. 合計口数
毎年初めに買った分の合計です。2008年初めには、
2007年分に買った分の147,149口+2008年に追加で買った分の172,105口=合計319,254口。
以下の年も同様です。
D. 時価評価額
そのときに持っている投資信託の時価がいくらかです。
2008年初めの時点では、319,254口持っています。そのときの基準価額が、1万口あたり13,945円。従って、
319,254口×(13,945÷10,000)=445,199円。
以下の年も同様です。
E. 積立元本
毎年240,000円を、投資信託を買わずに何もしていなかったときの総額です。
「D.時価評価額」と「E.積立元本」を比較すればわかるとおり、2017年初めに今年分の240,000円を買った時点で、
- 時価評価額:439万円
- 積立総額:264万円。
つまり、「ただ銀行に預金していたら264万円だったのが(利子はほとんど付かないでしょう)、この前提条件でこの投資信託を買っていたら約175万円増えて439万になっていたはず」ということです。
流れをもう少し詳しくみてみましょう。
過去10年にわたり時価評価額が順調に増加した国内債券型の場合とは、様子が随分違います。もし実際にこのような積立投資をしていたら、当時はどんな気持ちだったでしょうか。
- 2008年初め:今年も24万円を追加して計48万円分の投資信託を買ったのに、時価は44万5千円。やや減ってしまった。まあ少しの変動はしょうがないか?
- 2009年初め:うわわわ、72万円分つぎこんだのに時価は52万弱!20万も減った……。どうしよう? このまま減り続けたら困る……全部売っちゃおうかな?
- 2010年、2011年初め:マイナスが10万円ぐらいに小さくなってきた…。もう少し我慢すればプラマイゼロぐらいには戻るかな……?。
- 2012年初め:うわーまた減った……。せっかくマイナスが小さくなってきたのに、また30万もマイナス。去年震災があったからしょうがないけど……どうしよう……
- 2014年初め:去年から急に順調!なんと90万もプラスになった!このままイケイケ!
……。
結論から言うと、投資信託の積立では相場に一喜一憂してもはじまりません。
例えば上記の場合、2008年のリーマンショックや2011年の震災後にもし投資信託を全部売ってしまったら、損失が確定されて終了です。大きな株価下落後も我慢して定額で積立を続けたからこそ、基準価額が安いときにたくさん買えたんです。上の表の「買付口数」をみれば、2009年初と2012年初めの買付口数が特に多いことがわかると思います。
そうやって安いときにたくさん買っておいたからこを、2013年末からのアベノミクスによる株価上昇の恩恵を受けられたわけです。あくまで結果論ですけどね。
価格変動、「損」にどこまで耐えられるか。
一時的な「損」が出たときにどこまで耐えられるかは、人それぞれです。
経験によっても変わります。損にはできるだけ目をつぶりたくなりますし、利益が出たらすぐにでも確定したくなるのは人情ですが、投資においてはあまりいいことではありません。
感情をできるだけ排除するための方法の1つが、インデックス投資信託の積立です。日本経済が長い目でみて成長すると信じられるのであれば、短期的な上下にとらわれずに一定額の国内株式型インデックス投資信託を積み立て続けるという方法は、総合的にみていい方法の1つではないかと思います。
投資方法の選択肢の1つとして考えてみてください。
※私自身は、国内債券や国内株式の指数だけでなく、他のさまざまな指数に連動するインデックス投資信託を複数持っています。それらを組み合わせて1つの投資信託にした「バランス型」と呼ばれるインデックス投資信託も持っています。
未来のことは誰にもわかりません。過去の経験があてはまるとも限りません。5年とか10年に1回は、大きな暴落の可能性もあります。
投資は自己責任で!