— イヨ (@iyoiyo2013) 2017年10月4日
放送を見始めてすぐコレです…。
NHK Eテレ「ハートネット」、2017年10月4日の放送は「私たちの就活 - 吃音とともに生きる」。吃音(きつおん)、つまり「どもり」のある学生が就活に取り組む日々が紹介されました。
吃音のある大学4年生の就活の日々。
溝口さん(仮名、男性)はSE志望。吃音があるため面接を避けてきたが、いよいよ面接も避けられない段階に。
そこで、吃音者の就職を支援しているNPO法人の面接練習会に行ったり、あえて度の弱いメガネをかけて面接の緊張を和らげようとしてみたり。吃音サポートグループの集まりに参加して歌を歌って気分転換したり、先輩にアドバイスをもらったり、面接前にカラオケルームで喉を慣らしてみたり。
そんな努力をいろいろ重ねているのに、パソコン関係のさまざまな経験を話す他の応募者の横で言いたいことが全然言えず、「プログラミングを少々」なんて言ってしまって悔しく、自己嫌悪に陥ってしまう。
吃音について話せたと感じた8社目も不採用になってしまい、就活そのものを中断。
遠藤さん(女性)はマスコミ関係志望。"吃音者による吃音者のためのラジオ番組"、「吃音ラジオ」を2年前からネット(YouTube)で不定期に配信している。スタッフも全員が吃音者で、吃音のあるゲストを呼んで自由に会話してもらっている。
でも遠藤さん自身に吃音があるということは、周囲の「ほとんどの人が知らない」「見られるのははずかしい」。特に自己紹介などで、自分の名前が言えず詰まってしまう。
選考で不利になるのではと就活では吃音を隠して応募したが、面接で症状が結構出てしまい、不採用に。
一方、溝口さんは吃音のある子供のための親子学習会にボランティアで参加。子供たちの話を聞いているうちに「自分も昔はこうだったんだな」「お手本になれるように頑張らないとな」と気持ちを新たにし、就活を再開。事前に吃音があることを伝えて面接順序に配慮してもらったりし、会社の反応も好感触だった。
遠藤さんの「吃音ラジオ」No.44「就活におけるカミングアウト」でのインタビュー。「"吃音症があります" だけじゃなくて、"僕はこうやって頑張りました" という風にしたらけっこう受けが良かった。大変なことをどうやって乗り越えたか、どう行動したかが、面接官が聞きたいのだと思う」というアドバイスで、自分も履歴書に吃音について書くことを決意。吃音ラジオを運営してきたこと、自らが吃音の当事者であることを自己アピール欄に書くことができた。
……番組はここまでで終わっています。
再放送は2017年10月11日(水)午後1:05からです。
吃音、特に「難発」への理解。
吃音は、知っている人でもほとんどが「連発」、つまり最初の音を繰り返してしまう「ああああああれは~」のようなものだと思っているのではないでしょうか。でも、吃音の症状は連発だけではありません。
番組内で登場した2人はどちらかというと「難発」。最初の音を出せずに詰まってしまい、声が出せなくなる症状です。これも吃音の一種だという認識が、まだ広まっていないのではないでしょうか(それ以外に、最初の音を伸ばす「伸発」という種類の症状もあります)。
しかも2人とも、普段はごく普通にしゃべることができる様子。詰まってしまう特定の言葉をなるべく使わないで済むよう、言い回しを工夫し目立たないようにする生活を続けているのでしょう。なので余計に、急に言葉に詰まってしまう特定の場面で恥ずかしく感じたり、周囲がいぶかったりすることにつながりやすいのではと感じました。
吃音(きつおん)啓発資料・啓発リーフレットでも、「連発」より「難発」の方が症状が目立たない一方で、心理的負担は大きいとされています。
溝口さんは番組の中で、「吃音を隠していると自分じゃないような気がする」というようなことを言っていました。吃音に苦しみ、克服のため試行錯誤し努力を続けてきたことが、自分自身と切っても切り離せないからでしょう。
吃音をアピールポイントとして履歴書に書けるようになった遠藤さんともども、吃音も含めてまるごとを受け入れ理解してくれる人たちや会社に巡り会ってほしい。心からそう思います。
番組内で出てきた各種団体や、その他参考。
NPO法人どーもわーく
番組内で、溝口さんが面接練習会に参加していました。
吃音ラジオ
遠藤さんがやっているYouTube放送。
吃音サポート ジークフリーツ(東京都狛江市)
番組内で、溝口さんが歌を一緒に歌ったり先輩からアドバイスをもらったりしていました。
「吃音ラジオ」No.44「就活スペシャル」
遠藤さんの「吃音ラジオ」は、こちらの記事でも紹介されていました。
2016年春のフジテレビ月9ドラマ「ラヴソング」も、吃音がテーマの1つだったようですね(見ませんでした…)。
ついでに。
学童・思春期用吃音啓発リーフレット。
アニメ『心が叫びたがっているんだ』も、緘黙(かんもく)あるいは吃音(難発)を扱っているように思えます。
最後に。以前こんな記事も見ました。
日経ビジネス「日本一短くて美しい会話だねと開高さんは言った」
吃音は100人に1人にみられるとのこと。理解が広まってほしいと思います。