フリーランス兼業主夫日記

フリーランス、なりゆきで兼業主夫的な生活になってから25年超え。生活や子育ての中でブログネタを探しています。

「天然物100%化粧品に化合物」、「セレンと呼ばれる元素」…報道の表現に感じるひっかかり。

 

昨日はこんなニュースが。

headlines.yahoo.co.jp

 

Yahooニュースなのでそのうち消えてしまうでしょうが、

  • 「「植物由来100%」を売りにしていたが、実際にはシリコーンなどの化合物が入っていた。」
  • 「商品の成分表示ラベルに、使っていない植物由来の成分が書いてあったり、化合物が入っているのに書いていなかったりした。」

とのことです。

 

実はこのニュース、最初はタイトルが違っていました。

「天然物」と対立する用語として「化合物」が使われていたんです。

案の定、私以外にもいろいろな 方からツッコミがあったようです。

 

 

その後、元記事は修正されて上記の内容になったようですが、それでもまだ誤解の痕跡が残っているような。

 

「使っていない植物由来の成分が書いてあったり、化合物が入っているのに書いていなかったりした。」 という部分。「使っていない」という修飾語が「化合物」にまでかかるとすると「使っていない化合物が入っているのに書いていなかったりした」という文になり意味不明になりますので、単語「化合物」は単独で使われていると解釈できます。なので、記者の側に「化合物=人工物・合成物」という意識がまだ残っていそうです。

 

化合物とは、複数の元素の原子が化学的に結合してできた物質のことであり、天然に存在するものか人工的に作られたものかは関係ありません。

 

天然物信仰。

 

そもそも天然物信仰自体がどうかと思いますけどね。

 

「自然のものが体によい」と言うなら、例えばトリカブトはどうでしょう? 「自然の海でのびのびと育ったフグですので安全です」と言われたらどうしましょう?

 

"「セレン」と呼ばれる元素" という言い方。

 

もう1つのニュースです。

www3.nhk.or.jp

 

医療事故はもちろん大きな問題ですので、原因調査や再発防止が必要なのは言うまでもありません。

 

ここでは、そういった本質とは関係ない、私が感じた表現のひっかかりについて書いてみます。

 

「~と呼ばれる」という表現がもたらす「うさんくささ」。

 

おそらく、セレンという元素は一般にあまり知られていないのでしょう。それで、このような「セレンと呼ばれる元素」という表現になったのだと思います。

 

しかし、「~と呼ばれる」という表現にしたことで、何か「うさんくささ」が付与されてしまうのではないでしょうか? 例えば「自称不動産業の容疑者」というように、「そう言われている・主張している(けれど本当はどうかわからない)」とか、「そう呼ばれている(けれど正式名称は別にある)」といった、言外の余計なニュアンスが与えられてしまうのではないか思うのです。

「~と呼ばれる」という表現にしたために、「セレンって、何かうさんくさい=とにかく危険なもの?」といった誤解につながるのではないかと危惧するのです。

※セレンは体に必要な微量元素ですが、もちろん過剰に摂取したら中毒になります。私の大学の同級生も化学実験中に誤って接触し、セレン中毒になりました。

 

受け取る側の背景知識がさまざまな中でニュースを伝えなければならないときに、どういう表現が適当なのか、難しいです。

 

口頭での表現と文字での表現の違い。

 

もう1つ思ったこと。

 

ネットの動画ニュースでは特に、放送内容がそのまま文字に書き起こされて掲載されるようです。

口頭で読み上げるときには、耳で聞いてわかりやすくするために、あえて冗長とも思える説明的な表現を使う必要がある場面があると思います。しかし、それをそのまま文字に書き起こすと、冗長さが特に目立ってしまうのではないか。

 

例えば今回のニュースで言えば、耳から入ってくるニュースなら、「セレンと呼ばれる元素」や「セレンという元素」でも、説明的な表現でありいいのかもしれません。

でも、最初から文字である記事なら、「微量元素セレン」といった表現も可能になります(耳から聞く場合だと、この表現ではわかりにくいでしょう)。

 

音声のニュースなら平易な言葉使いが必要でしょうが、それをそのまま文字にすると冗長になることもあるはず。文字の記事なら、硬い熟語を使ったり表現を短縮してもわかりやすさが損なわれにくい、あるいはかえってわかりやすくなる場合もあるのではないかと思うのです。

 

いちいち文章を作り直し書き直す労力がかかるから、このような現状になっているのでしょうけどね。

言葉や表現にはときどき妙に敏感になってしまう私です。

 

世界で一番美しい元素図鑑

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