フリーランス兼業主夫日記

フリーランス、プラスなりゆきで兼業主夫的生活になって25年超え。生活や子育ての中でブログネタを探しています。記事の内容はその時点の思いつき。現在は考え方が違っているかもしれません。

NHKおはよう日本の「かかりつけ薬剤師」の説明で,もやもや。

 

先日,NHKおはよう日本で「かかりつけ薬剤師」制度が取り上げられていました。

www.nhk.or.jp

 

ところが,どうもいろいろとツッコミたくなってしまうんですよね……。

 

「かかりつけ薬剤師」制度とは。

 

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 「かかりつけ薬剤師とは」と検索しても,あまりすっきりした定義は出てきません。

日本薬剤師会のページを見ると,

「かかりつけ薬剤師」とは、薬による治療のこと、健康や介護に関することなどに豊富な知識と経験を持ち、患者さんや生活者のニーズに沿った相談に応じることができる薬剤師のことをいいます。

といった漠然とした説明がされています。

 

ごくおおざっぱに言うと,

 

自分の薬のことを全部管理してくれる自分専任の薬剤師さんを1人だけ指名する制度

 

です。指名できる薬剤師さんは1人だけなので,あちこちの薬局それぞれで指名することはできません。従って,どの病院で処方箋をもらっても,その「かかりつけ薬剤師」さんに持っていくことになります。

 

NHKの紹介内容についてツッコミ。

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これは,「かかりつけ薬剤師」かどうかにかかわらず,どの薬局・薬剤師さんでもやってくれていることですね。

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このような,病院そばのあちこちの調剤薬局に処方箋を持っていってしまうことが多い現状を改善しようと作られたのが,この「かかりつけ薬剤師」制度。でも,「かかりつけ薬剤師」を特に指名しなくても,自分で薬局を1ヵ所に決めて処方箋を持っていけばいいんです。

調剤薬局には,よく「全国どこの病院の処方箋でも受付します」なんて表示してありますよね。

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なので,この「一元管理」ということ自体は,「かかりつけ薬剤師」を指名しなくても,自分で調剤薬局を1ヵ所に決めれば事足ります。どの調剤薬局でも,「その調剤薬局で出した薬」や,「お薬手帳に書いてある薬」については,重複や飲み合わせの問題がないかどうか継続的に注意してくれますし,問題があれば病院に問い合わせてくれます。

逆に,「かかりつけ薬剤師」を指名しても,「どこの病院にかかってどんな薬を出されているか」を自分から全部情報提供し,その後は必ずその調剤薬局に行くようにしないと,意味がありません。

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この点については,「かかりつけ薬剤師」に少しだけメリットがあります。

何もないときに薬の相談はしにくいかもしれませんからね。

 

ただ,調剤薬局で薬をもらうついでに「○○さん居る?」というように特定の薬剤師を呼んで相談する患者さんは以前からいるそうです。なので,相談しやすい調剤薬局を選べば,別に「かかりつけ薬剤師」を決めなくても大丈夫とも言えます。

また,調剤薬局でも一般薬や健康食品,絆創膏などを販売しているので,そういうものを買うついでに薬剤師さんに相談するという手はあるかもしれません。

 

画面にある「コミュニケーションなど研修」も言い過ぎ。

所定の研修を受けた認定薬剤師でなければならないのは確かですが,知人によれば研修内容はコミュニケーションに関するものというわけではなく,ほとんど(あるいは全部?),薬に関する専門的な研修ということです。

 

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「相談」の場面ですが,うーん……この場面は,正直,アウトでは?

病院でもらった処方箋薬の残りを,普段用として残しておくことは,現実にはあると思います。でもそれは,あくまで自己責任の世界。薬剤師が,残った薬を自己判断で使うことを認めるようなことをしてはまずいと思います。

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「かかりつけ薬剤師」は,画面にあるような同意書に記入することにより1人だけ指名します。

でも,1回60~100円というのは「相談料」ではないので,この説明は間違い。その調剤薬局で薬を出してもらうたびに毎回60~100円が上乗せされるんです。「相談するたび」ではありません。

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24時間相談を受け付けるために,かかりつけ薬剤師の勤務表や携帯電話番号などを患者さんに渡すことになっています。なので,薬剤師さんにとっては大変な制度ではないかと思います。

 

ただし,

  • 24時間相談は,「かかりつけ薬剤師」でなくても,「基準薬局」では受け付けている
  • かかりつけ薬剤師を指名した場合も,やむを得ない場合は同じ調剤薬局の中で相談に対応すればよい

ことになっています。

 

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薬の在庫がない場合,他の薬局から取り寄せるなどして後で持ってきてくれる調剤薬局はあります。「かかりつけ薬剤師」かどうかにかかわりません。

 

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これも,「かかりつけ薬剤師」かどうかと「在宅医療」支援はちょっと制度的に違うような。

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「病院を紹介する」というのも「かかりつけ薬剤師」の義務ではありません。

病院の横にある調剤薬局(いわゆる「門前薬局」)だと,"大人の事情"で他の病院を紹介しにくいこともあると聞いています。

この場面で紹介されていたような,"門前"でない,町なかの調剤薬局を利用することには,そういう点でメリットがあります。

 

「かかりつけ薬剤師」制度,利用すべき?

 

なので,

  • 特定の薬剤師さんにいつでも相談できるようにしたい人

は,「かかりつけ薬剤師」制度を利用してもよいかもしれません。

 

そうでなければ,特に「かかりつけ薬剤師」制度を利用しなくても,

  • 自分にとって便利のよい場所にあり,
  • 親切な薬剤師さんがいて,質問に親身に答えてくれ,
  • 相談しやすい雰囲気(バタバタ慌ただしくしていないなど)の

調剤薬局を自分で選び,どの病院にかかっても処方箋を全部そこに持っていくようにすれば,「かかりつけ薬剤師」制度とほぼ同じサービスを受けることは可能だと,私は思います。

 

そもそも,ネーミングが誤解を招きやすい。

 

「かかりつけ薬剤師」という言葉ですが,「かかりつけの病院」とか「かかりつけの先生」というような,「普段からよくいく,いつも診てもらっている病院」という一般的意味の「かかりつけ」 ではありません。

「かかりつけ薬剤師」は,同意書に記入することにより特定の薬剤師を1人だけ指名する,厚生労働省が定めた制度です。

 

なので,「かかりつけ薬剤師」制度を利用しなくても,自分の中で一般的意味でのかかりつけの薬局を決めて,薬のこと全般を管理してもらい相談できるようにしておく,という考え方でいいのではないかと思います。