「啐啄同時」(そったくどうじ。「そつ」は「口へん」に卒)。
啐啄同機という言い方も、見たことがあります。
最近、ツイッターでこの言葉をみかけました。(誰のツイートかは忘れました…)
雛鳥が卵から孵化しようとしたとき、卵の中から殻をコツコツとつつく。
ちょうどそのときに、親鳥も外から殻をコツコツとつつく。親子のタイミングが合って初めて殻がうまく割れ、雛が生まれる。そんな様子を表している言葉です。
もともとは禅の言葉だとか。
親は、早くつつきすぎてもダメ。殻を割るのが早過ぎると、雛が死んでしまう。
つつくのが遅すぎてもダメ。雛が生まれるちょうどよいタイミングを逃してしまう。
子育てってこれの連続だと思うんですよね。
放っておいてもある程度は自然に成長していくけれど、親がうまく働きかければもっと伸びるかもしれない。ついつい欲が出てしまいます。
でも、親の働きかけが「ベストなタイミング」でないと逆効果になって、子どもをスポイルする可能性も。(スポイルっていう表現、最近聞かなくなりましたね…)
では、ちょうどいいタイミングはいつなのか?
そんなのわかりません。
なので、私は、しょっちゅうつついてみればいいのではないかと思っています。
コツコツ。「こんなことあるよ。どう?」
……しーん。反応ナシなら、とりあえずスルー。殻を割っちゃうほど派手につつかなければいいんです。
コツコツ。「こんなことやってみたら?」
……しーん。またもや反応なしならスルー。興味がない、あるいは時期じゃない。反応がないなら、とにかくその子にとって必要ないということです。
そんなことを繰り返していくうち、違うことでコツコツしたら、あるいは(子どもの成長、変化は早いですから)同じことを別の時期にコツコツしたら、「…………コツ?」ぐらいの小さな反応が返ってくるかもしれません。
そうしたら、子どもの反応をみながらもう少し踏み込んでみればいいでしょう。
あるいは、予期せず不意に、小さな小さな「コツ?」という音が聞こえることがあるかもしれません。その機を逃さず、親からもコツコツできるかどうか。
観察力、注意力、根気、親自身の好奇心、広い視野、受容力、……いろいろなことが求められる子育てです。
Photo by 写真素材 足成