PTAの後輩からの質問に対して考えてみたシリーズです。
前回はこちらでした。
今回の質問項目はこれです。
PTAが地域を含めた別の組織(PTCA)の形になったらどうなる?
不勉強にしてPTCAという言葉は始めて聞きました。
親(Parents)、教師(Teachers)に、地域(Community)を加えた組織がこのように呼ばれることがあるようです。
質問を受けてネットをちょっと見たぐらいですが、実例のようなものはあまり見つけられませんでした。
考えられる形態は2つあると思います。
- 学校支援地域本部の組織を作り、PTAがその中の一つの部会(教職員を除いた保護者部会)になる。
- 現在のPTAの中に地域の委員を加える。
後者の場合、現状のPTAからの変化はあまりなさそうです。
ここでは、前者についてもう少し考えてみます。
PTAが地域本部傘下の一部会になったとしたら。
これは、2008年に東京都杉並区の和田中学校で行われたことです。
当時、東京都初の民間人校長であった藤原和博氏がPTAを解散し、地域本部組織の中の保護者部会という形にして話題となりました(校長という立場でPTAを解散した手法が議論になっているようです)。
当時、文科省から学校支援地域本部(地域コーディネーター)による学校支援の方針が出されたこともあり、私が住む自治体でも、同時期に、学校支援を目的として地域諸団体に参加を求めた協議会が設立されました。そこには、PTA会長以下本部役員も委員として参加しています。
つまり、私が住んでいる自治体では、「PTAが地域本部参加の一部会」になっているような組織が、PTAとは別立てですでに出来ています。
※新しい考え方で新しい組織を立ち上げるよう行政から働きかけがあったとき、現場で従来からの組織を統合できず新旧組織が並立してしまうということが、現実にはよく起きています。名前が違う会議に出ても、メンバーはみな同じ顔ぶれというような。非効率としか言いようがありません。
このとき、もし従来からのPTAが解散しこの協議会の一部会になったとしたら。
活動の再編につながる。
学校支援地域本部の地域コーディネーターは、PTA活動とは別にボランティアを保護者や地域から募り、教育活動を支援するお手伝いの作業をしています。それが従来からのPTA活動と合わさって整理統合、再編される可能性があります。
元PTA会長の立場は?
それまでPTA会長だった立場は、PTAがなくなり保護者部会になるなら、おそらく「保護者部会長」ということになるのでしょう。大昔からの、それなりの「権威」のあったPTA会長としての立場は弱まり、学校との力関係が変化しそうです。
何より、「学校側に何か話をするときには必ずまず協議会長に話を通せ」という、面倒くさいことになりそうです。協議会長を務めるような地域の重鎮はメンツを重視しますから。
小学校と中学校の実情の差。
文科省は小中学校に対し、「地域」に積極的に学校に協力してもらえという方針です。
しかしその地域は、小学校と中学校ではかなり事情が異なります。
小学校は学区がそれなりに狭く、子ども会の活動などもあり地域の自治会・町内会と密着しているので、学校が地域と連携することに意味はあるかもしれません。
しかし中学校になると学区は広がり、それに応じて自治会数も増えます。
そうなると、多数の保護者・多数の自治会を1つの組織にまとめて何かをしようとすることに、実際にどんなメリットがあるのか? 逆に身動きが取りにくくなるだけなのでは? というような疑問を感じます。
結局、仮定の話なのでどうなるかよくわからない。
とりあえず思いついたことを書き並べてみました。
それぞれの学校や地域、組織の形態、活動目的など、個別の条件でどうなるかは大きく変わりそうです。仮定の話で予想してもあまり意味がなさそう。
そもそも組織が全取っ替えになるわけで、会則や予算・財源の問題もあるし。当地では地域コーディネーターに対してのみ自治体から使途を限定した補助金が出ていますから、複雑にもなりそうです。
少なくとも、地域まで拡大すると面倒なことが増えるのは確かだと思えます。
PTAの問題については、PTAの中で考えたほうがよさそう。
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