気の向くまま好きなことを書いているブログです。
今日もまたマニアックなネタを。
先日,車で外出したときにカーステレオでFM放送を聞いていたんです。
いつも,ちょっと遠い地域の局の放送を聞いているんですが,その日はどうも電波の入りが悪い。
アンテナちゃんと伸ばしてるよな? と確かめてみても,ちゃんとアンテナは出ている。
それで昔の知識を思い出しました。
その日のような,初夏の日差しが強い好天の日。
こんな日には「Eスポ」が出るんだった。
「Eスポ」?
通称「Eスポ」(正式には「スポラディックE層」)は,電離層の1つです。
「電離層」? これも,聞いたこともない言葉かもしれません。
興味ない方には全くちんぷんかんぷんなお話でしょうね……。
地球の回りには,地表から高さ数十km~数百kmのところ(ちょうど国際宇宙ステーションが飛んでいるあたり)に,太陽の影響でできたイオンの層がいくつかあるんです。
それが電離層。
地表に近い方から「D層」,「E層」,「F層」(F1層,F2層)と名付けられています。
これはイオンの層,つまり電気を帯びているので,電波に対して特有の性質を持っています。
- D層:中波(いわゆる「AMラジオ放送」)を減衰させる。夜は消滅する。
- E層:夜に中波を反射する(反射された電波は地表に戻る)。
- F層:短波を反射する。
電波が上空の電離層で反射すると,地表→電離層→地表→電離層……とバウンドするように、電波が遠くまで伝わります。
ところが,FMラジオやかつての地上アナログ放送の電波(超短波(VHF)と呼ばれる周波数帯)は,電離層で反射しません。突き抜けて宇宙に飛んでいってしまい,地表に戻ってこない。なので,遠くの放送局の放送は聞こえないんです。
ところが。
突発的に,普段はない電離層が出現して,VHF帯の電波を反射することがあります。
その電離層が「スポラディックE層」。
受信障害や混信の原因になります。
地上アナログ放送の頃は,テレビ画面に斜線が入るような受信障害が発生し,テロップで「ただいま受信障害が発生しています」などと表示されることもありました。
そんな受信障害や混信が発生する一方で,遠くのFM放送の電波がこのスポラディックE層で反射されて,普段は聞こえない遠くの地域で聞こえることがあります。
ですから,私もカーステレオの周波数を変えていろいろ探せば,普段聞こえない地域の放送が聞こえたかもしれません。やりませんでしたが…。
一方,マニアの方々の報告はたくさんありました。以下はその一部です
朝からFMが賑やか📻
— しぶざる (@shibuzaru_2003D) 2017年6月17日
Eスポ発生しているため、九州、沖縄、大陸局受信
107.9MHzの中国語FM局から日本の歌謡曲が!
歌手の方は不明ですし、どこのFM局か分かりません🤔
いつもは無線アカでツイートしている内容ですが、この歌手ご存知の方おられますか?#Eスポ #遠距離受信 pic.twitter.com/X3zasyWPdS
【受信報告】群馬県太田市南部の自宅よりFMK(エフエム熊本)をステレオ受信可能 #遠距離受信 #Eスポ pic.twitter.com/PigBde5Brk
— 491mhz@受信報告用アカウント (@491mhz_report) 2017年6月17日
栃木県那須塩原市にて
— やきもろこし (@fcorn071) 2017年6月17日
NBC長崎放送FM補完局 92.6MHzをEスポ受信#遠距離受信 pic.twitter.com/SnwJv6Ga2p
冬の夜に試してみてください。
興味のある方にぜひやってみてほしいのは,冬の夜の中波(AMラジオ)です。
夜には,上記の通り中波がE層で反射されるので,遠くの放送が聞こえるようになります。ラジオの受信周波数を連続的に変えていくと,普段は何も聞こえない周波数で,いろいろな放送が聞こえるはず。
例えて言うなら,日中は閑散としていた繁華街が,夜になって急に賑やかになるように。
最近はラジオがない家も増えてきたかもしれませんが,車をお持ちならカーステレオがあるでしょう。プリセットされた「いつもの局」ではなく,周波数をいろいろ変えて試してみてください。番組の合間に流れるコマーシャルの内容で,放送局の地域がわかったりしますから。
遠くのラジオ局の放送を聞いて楽しむBCLという趣味が、けっこう盛んだった時代がありました。私も小学生のころよくやったものです。
Photo by 写真素材 足成