フリーランス兼業主夫日記

フリーランス、なりゆきで兼業主夫になって20年以上。生活や子育ての中でブログネタを探しています。

NPOで働くということ。『あなたのキャリアの作り方』(浦坂 純子 著、ちくまプリマー新書)を読みました。

 

「普通に働く」と、カッコ書きでなければ言えなくなってしまった現代。

高度成長期からの、「安定・優良」「正社員」「給料・ボーナス」「昇進・昇給」「家族を養う」「定年まで勤め上げる」というイメージの「正社員モデル」は、もはや過去のものになってしまいました。


そんなこれからの時代に働くことをどのように考えたらよいのを、キャリアの1つとしてNPOで働くことを中心に取り上げた本『あなたのキャリアの作り方』(浦坂 純子 著、ちくまプリマー新書)を読みました。

 

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NPOとは。


ところで、そもそもNPOというモノが、あいかわらずわかりにくい。

内閣府の定義では、
NPO (Non Profit Organization)」とは、様々な社会貢献活動(事業も含む)を行い、団体の構成員に対し収益を分配することを目的としない団体の総称です。」とされています。でもこれで理解できるでしょうか?

「構成員に対し収益を分配しない」→「その団体で働く人にお金を渡さない=給料が出ない、無償ボランティアで運営される」とイメージする人が多いんじゃないかと、心配です。

正しくは「株式会社のような、利益を配当として分配することを目的としない」という意味であって、事業継続のために必要な経費(狭義の社員=従業員の人件費、すなわち給与等を含む)は支出してかまわない。それを賄うための「営利事業」も、行ってかまわないわけです。

 

NPOで働くことの現状。


そんなNPOを、働き方の1つとして考えられるのかどうか。
NPOの現状について、労働政策研究・研修機構(JILPT)調査報告書のデータも引用されて説明されています。

その中で1つ気になったのが、有給職員(正規・非正規職員)に関するデータ。

有給職員では、若年層(20代、30代)の比率が無給職員に比べて高いという結果が示されています。
期待を持たせるデータですが、でも有給職員に占める若年層の「割合」だけでは、実際にどの程度の「人数」の若年層がNPOで有給職員として働いているかはわかりません。
そこで、該当するJILPTの調査報告書をあたってみました。

報告書をみると、人数自体が少ないことは予想通りですが、団体によるばらつきが大きいこともわかります(有給の正規・非正規職員の1団体あたり人数は、正規職員が平均3人、中央値0人、標準偏差6。非正規職員人数は平均6人、中央値1人、標準偏差17であるなど。ばらつきはボランティア人数でも大きい)。

また、「有給職員の採用はこの3年間で平均的に1団体あたり約3人ある」、「有給職員が存在し始めるのは、財政規模が「500~1,000万円」を境としている。その後、財政規模が1,000万円増えるごとに「正規職員」が約1人増えるといったペースで増加する」とのことです。


興味がある方は、JILPT報告書をご覧ください。

調査シリーズNo.139 「NPO法人の活動と働き方に関する調査(団体調査・個人調査)―東日本大震災復興支援活動も視野に入れて―」|労働政策研究・研修機構(JILPT)



NPOは、団体によって、有給・無給の人員構成を含め、さまざまな面の違いが非常に大きいということなのでしょう。『N女の研究』(中村安希著、フィルムアート社、2017)でも、取材対象とするNPOを選定する基準の1つを「会計報告書が公開されている」団体としたところ、該当する団体が少なかったと書かれていた記憶があります(本を娘に渡してしまい手元にないので確認できませんが)。


NPOで働くことを選択肢の1つに考える場合は、事業分野だけでなく、組織としての運営状況にも当然注意が必要なのだと思います。

そしてなにより、創立者の「人」。本書後半でもカリスマ創立者が紹介されていますが、NPOでも中小・零細企業でも、小さい組織では代表者のキャラクターが組織全体のカラーになります。そういうカラーに自分が合うかどうかが、働く上では重要でしょう。

高速道路か、けもの道か。


大企業の正社員のような「高速道路」に乗った / 乗れた人。
いろいろな理由で、高速道路から降りて / 乗らずに / 降りざるを得なくなって「けもの道」に入った人。
「けもの道」を開発してバイパスのように整備してしまった人。
人それぞれでしょう。

先駆者が開発した「けもの道」を、後からたどることだってできます。「後発性の利益」という言葉を初めて知りました(先行者利益だけじゃないんですね…)。

ではどうすればいいのか。

著者は
「残念ながらいくら探したって正解はありません」
「分岐点に差し掛かるたびに、その時々で歩きやすい道、面白そうな道を選んでいけばいいだけです」
と言っています。

つまるところ、「やりたいこと」「できること」を探していけばいいのでしょう。それができる場所であれば、一般企業かNPOかは関係ない。一般企業やその中のソーシャルビジネスでも、コミュニティビジネスでも、NPOでも、一般社団法人や財団法人のようなその他の組織でも、あるいは法人格がなくたってかまわないかもしれない。

学校を卒業してから40年、またはそれ以上の期間にわたって働き続けるにはどうしたらよいか。
走りながら考え続けるしかなさそうです。


ところで本書の中で、「なぜNPOには高学歴の女性が多いのか?」という調査メンバーの感想に一瞬だけ触れられています。ただあまり掘り下げられることはなく、カリスマ創立者の話題に移っていきますが、まさにそのテーマを扱ったのが『N女の研究』(中村安希著、フィルムアート社、2017年)。この分野に興味のある方は併せてぜひ読んでください。

N女の研究

N女の研究

 


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