録画しておいた2月1日放送のNHKクローズアップ現代+「副業貧乏に内職地獄?“ネット・ワーカー”残酷物語」を見ました。
番組内容はすぐにダイジェスト版がサイトに掲載されると思いますが,
- 空き時間にベビーシッターとして月10万程度の収入になっている元教員の例。
- ライターの仕事で手取りが1件480円になってしまった主婦の例。
- 長時間労働が嫌でIT企業を退職してフリーランスエンジニアになったが,深夜に及ぶ変更・修正で結局長時間労働は変わらなかった例。
- 「安く発注するのは当然,安いと思うのなら他の仕事をすれば」という発注側の意見
- 「過当競争になりダンピングが起きている」という「クラウドソーシング協会」のコメント
- 海外ではUber,Amazon Flexなど,一般の人々を業務に使う例が増えているが訴訟も頻発。Uberでは料金・ノルマを強制されていて従業員に当たると主張し訴訟になっている。
- フリーランス間の自発的連携も。情報交換をしたり共同受注につながったり。
こんな内容でした。
ダイジェスト版がサイトに載っています。
そもそも賃金とは?
番組中でもときどき出てきた,「賃金」という言葉。
この言葉が出てくることからして,認識違いがあるように思います。
「賃金とは、一般に、労働の対価として使用者が労働者に支払うものをいいます。」
(Q1.法律上、賃金とは何ですか。|労働政策研究・研修機構(JILPT))
「労働基準法(労基法)では「この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者(雇用主)が労働者に支払うすべてのものをいう。」と定義されている(11条)。」
賃金とは,使用者が労働者に労働の対価として払うもの。
使用者=雇用者,労働者=従業員ですから,賃金というのはすなわち給与です。
雇用契約がなければ賃金とは言えません。
フリーランスの収入は「賃金」ではない。
フリーランスが手にするのは,賃金ではなく売上です。
フリーランスが働くのは,雇用契約のもとでの「労働」ではなく,業務委託により行う「事業」。提供する成果物は「商品」です。
フリーマーケットで古着を100円で売っていて,「100円でしか売れないのはおかしい」「5時間も出店していたのに1000円しか売れなかった」と文句を付けるのは筋違い。買う側は「100円で売っていたから100円で買った」というだけのことです。
同じようなことが,一部で起きているように思います。
文句を言う前に,100円じゃなく500円,1000円,2000円で売れるように工夫しなければなりません。
同じような問題は,30年ぐらい前,「在宅ワーク」がもてはやされた頃からずっと続いています。
フリーランスは「労働者」ではない。
同様に,フリーランスは「労働者」ではありません。
(労働者は)「労働基準法第9条では「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」と定義される。 」
ですから,労働関連法令での保護の対象ではありません。
だって,農家に育児休業や有給休暇はありませんよね? 最低賃金も労働時間の規制もありませんよね? それと同じです。
少なくとも,今の制度ではそうなっている。
働き方が変化し,従来の「雇用者,労働者,自営業者」という枠組みで捉えきれなくなったときに社会や制度がどう変わっていくか,どう変えるべきかは,これからの問題です。
でも制度が変わるまでの間は,自分で学び防衛しなければなりません。
自営ですから,自衛しないと。
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