しばらく前に,連合会長が「頑張れば賃金が上がるという常識を取り戻すことが極めて大事だ」と発言してネットで叩かれていました。
ここで注意すべきは,「頑張る」が具体的にどういうことを指しているかです。
連合会長がこの言葉で具体的にどういう仕事の仕方をイメージしていたかは,わかりません。
「とにかく長時間,がむしゃらに目の前の仕事をする(効率性・生産性や目指すべき成果の検討・取捨選択,コスト意識などは二の次)」という主旨の発言であるのなら,現代では非難されてしかるべきでしょう。
でも,「"頑張って"生産性を上げ,短時間で最大限の成果を上げ企業収益に貢献する」のであれば,当然評価されるべきではないでしょうか。
つまり,頑張る方向です。
体力を使うか,知恵を絞るか。
知恵を絞る方の頑張りは,一見「ラクをしている」「ラクをしようとしている」ように見えるかもしれません。
でも,とりあえず目の前の仕事にとりかかってやみくもに力業でなんとかしようとするよりも,いったん立ち止まり,求められる成果とそのための最適かつ効率的な方法に頭を使うことの方がずっと大変なはず。そのための「頑張り」,「頭で汗をかく」ことはこれからどんどん必要とされます。
上記の記事のそれぞれのエピソードで,「普通のやり方でがむしゃらにやった人」を「頑張った人」,「頭を使って仕事をした人」を「頑張らなかった人」だとは,私は思いません。
頑張りの方向が違っただけです。
ダルビッシュ選手も言っています。
練習は嘘をつかないって言葉があるけど、頭を使って練習しないと普通に嘘つくよ。
— ダルビッシュ有(Yu Darvish) (@faridyu) 2010年6月11日
体力でなんとかするよりも,頭を使って仕事をする方がずっと難しい。
そんな「正しい頑張り」が,正当に評価されるようであってほしいと思います。