自営業・フリーランスの年金は、何もしなければ国民年金しかありません。
それを補う制度として、小規模企業共済・確定拠出年金などがありますが、さらにもう1つ、「国民年金基金」もあります。
どう違うんでしょう? どれがいいんでしょう?
資産管理コラム 国民年金基金vs小規模企業共済 | モーニングスター
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国民年金基金の概要・特徴。
- 生きている限り年金をもらえる終身年金部分(1口目)と、一定期間だけもらえる確定年金部分(2口目以降)を組み合わせて加入する仕組み。
- 加入時に、将来の受取額が決まる(現在の予定利率:1.5%)。
- 掛け金は加入時の年齢で決まる。
- 掛け金は、全額が社会保険料控除になる(控除になるという点は、確定拠出年金・小規模企業共済と同じ)。
- 現役世代が高齢者を支える仕組み(国民年金と同じ世代間扶養、賦課方式)。
国民年金基金の長所。
終身年金である。
終身年金は、民間の個人年金にはありません。生きている限り給付が受けられるので、長生きリスクに備えることができる特徴と言えます。
加入時に将来の給付額が決まるので、将来設計が立てやすい。
「確定給付年金」です。
国民年金基金の短所。
現在の予定利率は1.5%。
この程度で納得するか、あるいは低いとみるかですね…。
賦課方式である。
世代間扶養であるため、現役世代の加入者が継続的に(しかも任意で)新規に加入し続けないと、制度としての存続が難しくなるのではないか。
掛け金に上限がある。
自営業・フリーランスの場合、確定拠出年金・付加年金との合計で月68,000円が上限です。
運用は「おまかせ」。
長所か短所かわかりませんが、運用方法は国民年金基金連合会に「おまかせ」です。「自分でやればもっと儲けられる」と思う人にとってはデメリット。
ではどうする?
例えば、私が子どもから相談されたとしたら。
(国民年金基金に加入できるのは、会社員・公務員以外の、フリーランスなどの場合だけですけどね)
若いうちはまず自分に投資。
まず自分の市場価値を高め、仕事で稼げる額を増やし、できるだけ長く働きつづけられるようにすることが、大きな老後対策になります。
その上で将来の年金受け取り額を増やしたいなら、余裕資金で、しかも国民年金基金ではなく確定拠出年金にする。
20代なら月1万程度、30代以降ならそれぞれの状況に応じて、余裕資金でやればよいと思います。老後資金の全てをどれかの制度に頼るのではなく、老後対策の1つとしてのみ考えるべき。
長期間にわたって資金を固定することになるので、よく考える必要があります。
資産形成は投資だけじゃなく借金返済も含めて。
もちろん、住宅ローンなどの負債がある場合はそれを真っ先に返済するという選択肢もあります(ただし手持ち現金を使い切ってしまうのは不可)。
住宅ローン控除額なども含め、どうするのが一番トクかをシミュレーションしてみる必要があります。
……なんていうアドバイスをすると思います。
ではそういう私自身はどうしているのか?
- 会社員6年間分の厚生年金+その後は国民年金のみ加入、数年前から付加年金にも加入
- 30歳ごろに小規模企業共済に加入(掛け金月2万。現在もう20年を超えているので、元本割れにはならない)
- 近く確定拠出年金拠出開始予定(現在、口座開設審査中)
- 別途、投資信託積立などもやっています(その一部を確定拠出年金口座に移行予定)。
- 国民年金基金については、終身年金という点は大きな長所ですが、予定利率が低すぎなので見送り。
です。
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